漢方ビュー通信

美容に必要不可欠な「血流のはたらき」とは

美容に必要不可欠な「血流のはたらき」とは

「美容」はもはや女性だけでなく、男性にとっても興味関心の高いテーマです。
外見が美しくなると、それが内側に反映されて、ココロまでハッピーになりますよね。また、そのように外見に磨きをかけることは、自分自身を大切にすることに繋がります。

美容を語るうえで、皆さんの関心が一番高いのは“美肌”や“ダイエット”だと思います。
今回は、そのような外見を美しくするために大切な「血流」についてお話しします。

漢方から見た「血(けつ)」の役割

漢方には、人の健康に必要な3つの要素「気・血・水(き・けつ・すい)」があります。
この3つが過不足なく、スムーズにカラダの中を流れていれば、人はココロもカラダも健康で幸せに生きることができるといわれています。

その中でも「」の役割は、カラダの隅々まで血液と栄養素を運ぶこと。そして老廃物を全身から回収していくこと。この2つのはたらきは、美容にとっても大切なポイントとなります。

また、「血」は女性のカラダと深い関わりがあります。
例えば、「血」が不足している状態を「血虚(けっきょ)」と呼び、貧血や皮膚の乾燥、脱毛、血行不良などの症状を招きます。
特に、女性の持つ子宮は、赤ちゃんのベッドとなる「血」で満たされており(「血の海」と呼ばれている)、毎月の月経で排出されるため「血」が不足しやすい体質になりがちです。

このように「血」は、女性の健康にさまざまな影響を与えますが、「美容」という視点でどのような影響があるのか、次に解説します。

なぜ「血」は美容に必要不可欠なのか?

なぜ「血」は美容に必要不可欠なのか?

「血」は血液と栄養素を全身に運ぶ役割を担っています。その「血」がうまく流れないと、全身の臓器、特にカラダの末端や表層部分に悪影響を及ぼします。

例えば、「血」が不足してしまうと、髪の毛にツヤがなくなり、枝毛や白髪が増えやすくなります。そして、爪が薄くなったり、割れやすくなったり、ささくれができやすくなってしまうことも…。
また、カラダの一番の表層である肌にも栄養が行き渡らなくなるため、肌が敏感になり、乾燥も進み、肌荒れやシワができやすくなるなど、さまざまな肌トラブルが起きてしまいます。

さらに、本来であればサラサラとスムーズに流れるはずの血流が、生活習慣の悪化やストレスによってドロドロの血流になってしまうこともあります。
すると、老廃物を全身から回収するはたらきが低下してしまい、カラダに余分なものが溜まり、全身にむくみが生じたり、体重が増加しやすくなります。そして、目の下にはクマやアザができやすくなったり、しみやそばかすに悩まされることも…このような症状は「瘀血(おけつ)」という体質によって出現しやすくなります。

「血」が不足することも、滞ってしまうことも、美しい外見を保つためにはぜひ解消したいところです。

血流アップでココロもカラダもハッピーに

前述したように、「血」の不調には2種類の状態があります。

血虚(けっきょ):「血」が不足してしまい、全身に血液や栄養素が行き渡らない状態
瘀血(おけつ):「血」がドロドロして、血流が滞りやすくなる状態

血虚を解消するには、まず胃腸のケアが必須!
血液を生成するためには、良質なタンパク質や食物からの栄養素が必要です。しかし、いくら豊富な栄養素を摂取しても、胃腸の調子が悪いとそれらを吸収することができません。
そのためには、消化不良などの不調がある場合は消化に良い食事を心がけたり、定的な断食を行ったり、胃腸を休ませる習慣をつけること。
次に消化の良い食事を前提に、豊富なタンパク質や栄養素を含む食材を積極的に取り入れることです。
例えば「黒い食材」と呼ばれる、黒ごまやレバー、黒豆、ひじき、昆布、レーズン、プルーンなどは、血液を補う効果があるのでおすすめです。

血流アップでココロもカラダもハッピーに

瘀血を解消するには、まずはその原因となる生活習慣を見直す必要があります。
瘀血は、睡眠不足や、砂糖や油の過剰摂取、ストレスなど、日々の習慣が原因です。
そのため、瘀血を解消する一番の近道は、規則正しい睡眠、野菜中心のヘルシーな食生活を心がけること。
さらに、冷えを防いで「血」の巡りを良くするために、毎日湯船に浸かったり、ストレッチをするのがベスト。

血流が改善されると、肌の色が明るくなったりカラダが軽くスッキリするので、ぜひ毎日の習慣を見直し健康的な生活を心がけてみてくださいね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Jul 28 2020

薬剤師・森田博美

関連コンテンツ