だらだらと寝てしまう…そんなときは太陽を浴びよう!
生体リズムを調整するのが体内時計
このところつい寝坊をしてしまう。夜遅くまで起きてしまう…。
そんな人は、“体内時計”を調整してみてはどうでしょう。
多くの人は夜になると眠くなり、朝になると目覚めます。
これは、私たちのカラダの中に、さまざまな環境の変化に適応するための生体リズムがあるためで、このリズムを調整しているのが、体内時計です。
近年、研究が進んでいる体内時計。
例えば、睡眠や覚醒だけでなく、血圧や体温、ホルモンの分泌、自律神経の働きも、この生体リズムによって、その周期を繰り返していることが分かってきました。
また、この体内時計のシステムは、ヒトなど哺乳類においては脳の視床下部に備わっていることも明らかになっています。
朝、太陽光を「目」で感じることが大事
体内時計の長さは多少の個人差があるものの、基本的に25時間前後であるといわれています。
そして、この1時間を早送りして時計の針を合わせる働きをするのが、朝の太陽光。
私たちは太陽の光を“目で感じる”ことで、体内時計をリセットしているのです。
そのメカニズムを簡単に説明すると、こうなります――。
眼球には光を感知する網膜という部分があります。網膜がキャッチした太陽光の刺激は、信号となって脳幹へと伝わり、脳内物質を活性化させます。
この脳内物質が生体リズムを調整して、時計の針をリセットしてくれるのです。
ですから、体内時計を整えるためには、起きたらベッド(布団)から出て、カーテンを開ける。その上で、目で朝の光を感じることが大切なのです。
朝の散歩もOK。ただし、サングラスをかけると網膜に太陽光が届かないのでご注意を。
規則正しい生活がしにくいときこそ…
規則正しい生活が送りにくい今のようなときこそ、朝、カーテンを開けて太陽光を浴び、体内リズムを整えていきましょう。
太陽光を浴びることで活性化した脳内物質は、体内リズムをリセットするだけでなく、気持ちを前向きにしたり、集中力を高めてくれたりします。
目覚めの良い朝を迎えることもできますし、睡眠の質も上がります。
太陽光と睡眠とは、一見関係ないように思えますが、じつは、朝、太陽光を浴びて脳内物質を活性化すると、その15~16時間後に睡眠の質を高める、別の脳内物質が分泌されることがわかっています。
生活リズムを整えるポイント
体内時計の作用をうまく使って生活リズムを整えるためのポイントは、「早寝〜早起き」の意識ではなく、「早起き〜早寝」の意識。
最初はつらいかもしれませんが、1カ月ぐらいでカラダが慣れるようなので、がんばってみましょう。
興味深いことに、体内時計の存在が知られていなかった昔から、養生として〝生活の習慣化〟や〝寝過ぎない〟ということが大事とされてきました。昔も今も同じなんですね。
また、生活リズムを調整するのに、「漢方薬」のサポートが役立つことも。
どうしても寝つきが悪いという時に、漢方医学の考え方にある「気・血・水(き・けつ・すい)」の中でも、「気」の流れをスムーズにする処方が用いられることがあります。
睡眠薬や睡眠導入剤とは違ったアプローチになるので、興味がある人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるのもよいでしょう。
ココロとカラダの健康のため、体内時計を整えていきましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
厚生労働省eヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html
睡眠医療プラットホーム(国立精神・神経医療研究センター)
https://sleepmed.jp/platform/entry4.html
健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/yojokun.html
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内