漢方ビュー通信

暑い時期の肌トラブルは「脂漏性湿疹」かも?

暑い時期の肌トラブルは「脂漏性湿疹」かも?

常にじんわりと汗をかいている──。
タオルで汗を拭き取ったり、インナーウエアを着替えたりと、暑い季節はいろいろと対策が必要です。

さて、そのような環境下において、突然、頭皮にブツブツができて強いかゆみを感じたり、フケが出てきたり、抜け毛が増えたり、鼻や口の周りに身に覚えのない湿疹ができてしまった人などはいないでしょうか。

このような、突発的な“肌トラブル”は気持ちを不安にさせてしまいます。
原因はさまざま考えられますが、そのひとつに「脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)」があります。

今回は、薬剤師である筆者が、この脂漏性湿疹について解説します。

脂漏性湿疹とはどんな病気?

脂漏性湿疹とはどんな病気?

脂漏性湿疹とは、皮脂腺の多い部分(皮脂の分泌が活発な部位)に出現するものです。
特に、頭皮や鼻の周り、耳の後ろ、わきの下、太ももの付け根などにできやすい傾向があります。

残念ながら、脂漏性湿疹が出現する明確な原因は解明されていませんが、そのひとつとして「カビ」の可能性が考えられます。
私たちの皮膚には多くの常在菌が存在していますが、その中でも皮脂の多い場所を好む「マラセチア菌」というカビ(真菌)の増加が影響しているとされています。

じつは、マラセチア菌の代謝物が炎症の原因になると考えられており、症状としては、かゆみが現れたり、赤くなって皮膚がはがれたり、頭皮ではフケが出たりします。
また、皮脂腺が多い部分にできるものなので、その皮脂が酸化し異臭を伴うことも多いです。

大人になってから発症すると、慢性化するケースが多くなっています。
特に、皮脂分泌は男性ホルモンにより促進されるため、女性よりは男性に多い傾向です。
悪化すると抜け毛にもつながるので、早めの対応が大事です。

肌に異常を感じたらすぐに皮膚科で相談を

肌に異常を感じたらすぐに皮膚科で相談を

脂漏性湿疹の治療は、皮膚科の受診となります。
肌の状態にもよりますが、内服薬と外用薬によるケア、そして漢方薬も使用できる場合があります。
何より、我慢をせずにすぐに相談し、慢性化させないことが大事です。

食生活においても、脂っこい食事を控える、ビタミンB群を積極的に摂り入れる、野菜や海藻など食物繊維の多い食材を摂り入れることも大切です。
また、紫外線や寝不足、ストレス、疲労なども原因となるので極力避けるようにしましょう。

脂漏性湿疹は、一度改善したとしても、その原因となるマラセチア菌が増殖しやすい環境自体が改善されていなければ、再発する可能性があります。
また、暴飲暴食や睡眠不足などの悪い生活習慣も関与している場合があります。

脂漏性湿疹を患った場合には、薬の服用と共に生活習慣の改善もおこなっていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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https://www.kampo-view.com/search.html

Sep 18 2020

薬剤師・大久保 愛

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