体温は低すぎても注意!低体温は不調のサイン?
最近、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防と拡散防止のため、デパートや施設など多くの人が出入りする場所の入り口で検温を受ける機会が増えました。
また、体温はコロナウイルスに感染しているかどうかのひとつのバロメーターとなるため、以前より自身の体温を意識するようになった人も多いと思います。
さて、その体温ですが、“高い”のはもちろん注意ですが、逆に“低すぎ”でも注意しなければなりません。
体温が低い状態は「低体温」と呼ばれ、今すぐ目に見えるような不調はないかもしれませんが、免疫力が低下していることも考えられます。
今回は、薬剤師である筆者が、この「低体温」について解説します。
低体温はカラダにさまざまな支障を…
低体温とは、健康的な人の平熱(約36.5度)より低い状態のことを指し、カラダの中ではさまざまな機能に支障が出ていると考えられています。
その理由のひとつに、体温が36.5〜37度の時に活発になる新陳代謝が行われにくいことが挙げられます。また、低体温状態の時には、代謝機能や免疫力の低下、自律神経の乱れ、排泄力の低下なども考えられます。
そのため、低体温はさまざまな症状をきたすことがあります。そのサインとなる一例を紹介します。
- ウイルスや細菌などの感染症に罹りやすくなる
- 太りやすくなる
- 便秘や下痢になりやすくなる
- 風邪を引きやすくなる
- アレルギー症状が起こりやすくなる
- カラダのダルさを感じやすくなる
- 肩こりや頭痛を感じやすくなる肌荒れをしやすくなる
- 生理不順になりやすくなる
低体温になってしまう原因は?
カラダが低体温になってしまう原因はいくつか考えられます。
まず、脂質と糖質の摂取量が多く、逆にビタミンB群やミネラル、タンパク質などの栄養分が不足してしまうような食生活が続いていると、エネルギー産生が弱まり、体温が下がりやすくなります。
次に、冷たい飲み物を習慣的に飲んでいる人も、内側からカラダを冷やすため、低体温になりやすくなります。
また、姿勢が悪かったり、ストレスが多かったり、薄着傾向だったり、冷房を効かせ過ぎたり、シャワーのみで入浴を済ませるような習慣は、血行を悪くさせて低体温になりやすいとされています。
このような習慣に思い当たる人は、気をつけてください。そして、少しでも改善できる習慣があれば、実践するようにしましょう。
低体温は、あくまで健康的な人の平熱よりも低い体温の人を指します。
したがって、36度以下の平熱状態が続くようだと、低体温の可能性を疑ってもよいかもしれません。
漢方の考え方「気・血・水(き・けつ・すい)」の観点からだと、体温の低下に伴い血行が悪くなっている「瘀血(おけつ)」が原因と考察する場合があります。
こういった症状は、漢方治療の得意とするところでもありますので、気になる方は一度漢方に詳しい医師に相談してみることもおすすめします。
ふだんから基礎体温を記録していたり、熱が出やすい人くらいしか自分の体温をチェックしていなかったと思います。
しかし、ここ最近は検温する機会が多いので、これを機に自分の体温を健康のバロメーターのひとつに組み込んでみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
薬剤師・大久保 愛