運動不足を解消しよう!筋力低下よりも「骨」が心配?
涼しい日が続くようになってきました。
これからのスポーツの秋は、登山やキャンプなどのアウトドアのレジャーを楽しみたいものです。
しかし、今年は家の中で過ごす時間が増え、運動不足になっている人がこれまで以上に増えているそう。
カラダを動かさないことで懸念されるのは筋力の低下ですが、それ以外にも大事なものが弱っていきます。それは、カラダを支えている“骨”。
骨は、一見、硬く変化しないように思いますが、実際は破骨細胞や骨芽細胞が活発に働いて、骨代謝が行われています。
じつは、運動不足は筋力だけでなく、骨の代謝にも深く関わっているのです。
今回は薬剤師である筆者が、ステイホームが続いたことで、弱りがちになっている“骨の状態”について解説します。
骨の代謝とは
骨も皮膚や他の器官と同様に、新陳代謝が繰り返されて、常に新しい組織へと生まれ変わっています。これを「骨代謝」といいます。
骨の細胞には、カルシウムを骨にする「骨芽細胞」と、骨から古いカルシウムを溶かす「破骨細胞」の2種類があります。
仮に、骨代謝に異常が起き、そのバランスが崩れる(骨を溶かすペースが骨を作るペースを上回る)と、骨量が減り、骨がもろくなっていきます。
一般的な原因として、閉経による性ホルモンの低下やビタミンDの低下、加齢によるものなどが考えられています。
骨に適度な衝撃を…?その理由とは
運動と骨代謝は、深く関係しています。
というのも、これには「スクレロスチン」と呼ばれる骨細胞から産生される物質が関与しています。
簡単に説明すると、スクレロスチンは、骨形成のペースを調整する細胞のひとつで、例えば、スクレロスチンが多いと骨芽細胞の数が減り、骨が弱くなってしまいます。
そこで、スクレロスチンに関わってくるのが「運動」です。カラダに対する衝撃が起こることで、大発生したスクレロスチンを抑制することができるのです。
さらに、骨芽細胞からは「オステオカルシン」という物質を血中へ流しますが、これには筋力や生殖力、記憶力を保つ働きがあるとされています。
他にも、「オステオポンチン」という物質があり、これには免疫力を保つ働きがあるとされています。
このように、運動不足でスクレロスチンが増加し、骨芽細胞の数が減ることで、骨がもろくなるだけではなく、筋力や生殖力、記憶力、免疫力の低下にも繋がってしまう場合があります。
ステイホーム中や家でのちょっとした空き時間には、エア縄跳びやかかとの上げ下げ運動などをして、骨に適度な衝撃が加わるような運動を取り入れるようにしましょう。
漢方薬は自分に合ったものを
足腰に痛みやしびれを感じた時に効果のある漢方薬もあります。
例えば「八味地黄丸(はちみじおうがん)」は、腰痛や下肢痛に用いられますが、泌尿器系の機能低下に対しても用いられています。
漢方薬を服用すると、足腰の問題だけではなく、その他の症状にも対応できることがあります。
つまり、自分の体質に合った漢方薬を処方してもらうことで、主訴以外の不調の改善に繋がる場合もあるのです。
ただし、漢方薬を服用する際は、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
漢方薬は、“自分に合った”ものを服用することで、そのポテンシャルをさらに活かすことができるからです。
いかがでしたか?
とはいえ、いちばん大事なのは生活習慣を見直すことです。自粛やステイホームも必要なことですが、カラダを壊してしまっては意味がありません。
ソーシャルディスタンスを守りながら、外に出て軽く運動する習慣も身につけましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛