まとめ

こむら返りとは
ふくらはぎや足の裏、ふとももの筋肉などが突然、強くけいれんして、痛みが出ることを「こむら返り」と言います。「足がつる」という言い方もします。
こむら返りの治療
足のけいれんには芍薬甘草湯がよいということが、昔から知られていました。
最近の研究でも、芍薬甘草湯には筋肉の緊張をゆるめて、けいれんそのものやけいれんで起こる痛みを抑える作用があることが分かっています。
病院での診察
こむら返りの多くは健康な人にも起こる一過性のものなので、心配ありません。日常生活に支障が出るくらい回数が多い場合は、原因となる病気がないかを調べ、病気がわかった場合はその治療を優先させます。
こむら返り

ふくらはぎや足の裏、ふとももの筋肉などが突然、強くけいれんして、痛みが出ることを「こむら返り」と言います。ふくらはぎ(腓:こむら)に多いことから、こむら返りという名前が付いたようです。「足がつる」という言い方もします。
こむら返りは運動中にみられる場合と、その他のときに起こる場合があります。

こむら返りのメカニズム

ふくらはぎや足の裏、ふとももの筋肉などが突然、強くけいれんして、痛みが出ることを「こむら返り」と言います。ふくらはぎ(腓:こむら)に多いことから、こむら返りという名前が付いたようです。「足がつる」という言い方もします。
こむら返りは運動中にみられる場合と、その他のときに起こる場合があります。後者では年齢が上がるにつれて発症の頻度が増してきます。多くは健康な人にも起こる一過性のものなので、心配ありません。運動をすると起こる人は運動前後にはウォーミングアップやクールダウンをしっかりするようにしましょう。寝る前のマッサージも有効なようです。

こむら返りの原因となる病気

甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症、バセドウ病)、糖尿病、筋肉の病気、肝臓病(肝硬変など)、末梢神経障害、腎臓病(透析をしている場合)など

こむら返りの薬物治療、非薬物治療

こむら返りの多くは健康な人にも起こる一過性のものなので、心配ありません。日常生活に支障が出るくらい回数が多い場合は、原因となる病気がないかを調べ、病気がわかった場合はその治療を優先させます。それとともに、マッサージやホットパック(温湿布)、消炎鎮痛薬の貼り薬(湿布)、塗り薬などを使って、筋肉のけいれんを予防していきます。
それでも症状が取れない重症のこむら返りには、筋緊張緩和剤を用いることもあります。
運動をすると起こる人は、運動前後にはウォーミングアップやクールダウンをしっかりするといいでしょう。寝る前のマッサージも有効なようです。運動をするときや夏の暑い時期は、汗をたくさんかきます。水分が不足すると電解質の異常が起こりやすいので、スポーツドリンクを飲んだり、塩分補給をしたりしましょう。

こむら返りの予防

● 運動の前後はしっかりとストレッチを行う
● 運動中はこまめに水分補給(ミネラルや塩分が入ったものを)
● 運動をした夜はお風呂にゆっくり入る
● 入浴後や就寝前は軽くふくらはぎをマッサージ
● カルシウムやマグネシウムをたっぷり取る(野菜や果物、海藻類、牛乳、小魚などに多く含まれる)

症状が起きたとき(足がつったとき)は、膝を伸ばしたまま足の甲を手前に曲げ、足の裏側の筋を伸ばすストレッチをすると和らぐので、試してみましょう。

漢方薬による治療

漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』のなかにも記述があるこむら返り。「(前略)芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を作って与えれば攣急(れんきゅう)が治って、足が伸びる」と記載されているように、足のけいれんには芍薬甘草湯がよいということが、昔から知られていました。

最近の研究でも、芍薬甘草湯には筋肉の緊張をゆるめて、けいれんそのものやけいれんで起こる痛みを抑える作用があることが分かっています。

また、漢方薬は「(しょう)」に基づいて処方されることが基本ですが、こむら返りの場合は証に関係なく処方されます。
飲むとすぐに効果が出るため、日ごろ、足がつりやすい人は外出時に持ち歩いたり、まくら元に置いたりしておくとよいかもしれません。

この漢方薬には「甘草(かんぞう)」という生薬が多く含まれています。脱力感やむくみ、血圧の上昇などの副作用が起こるおそれがあるので、医師の指導をきちんと守って服用するようにしましょう。

漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられます。一見、ご自身の症状とはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、お腹や舌、脈を診たりすることがありますが、これも病気の原因を探るために必要な診察です。
また漢方薬の服用だけではなく、ストレッチやマッサージなどをしっかり行っていくことも、こむら返りの改善や予防につながります。

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

監修医師

新見正則医院
院長
新見 正則先生
新見 正則 先生

1985年慶應義塾大学医学部卒業。1993年から98年、英国オックスフォード大学医学部博士課程卒業。1998年より帝京大学医学部外科に勤務。2002年より本邦初の保険診療でのセカンドオピニオン外来を始める。2007年より松田邦夫先生に漢方を師事。

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