おこもり状態からの急な運動…ケガや故障に気をつけて!
運動のウォーミングアップ、クールダウンは忘れずに
気候もよくなり、コロナ禍のおこもり状態による運動不足や体重増加を何とかしたい――。
そんな思いから新たに運動を始める人も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待って。
運動不足によって筋力や体力が落ちている状態から、急に運動を始めるとケガの原因にもなり危険です。
とくにジョギングやランニングなどは、思いのほか足腰に負担がかかります。しっかりと準備をした上で、徐々に強度や負荷を上げていくようにしましょう。
また、運動前のウォーミングアップ、運動が終わってからはクールダウンを忘れずに。
簡単なストレッチでも運動前後におこなうのは効果があります。
途中で痛みを感じたら運動はいったんお休みし、冷たいタオルなどで痛む場所を冷やすこと。2~3日経っても痛みが引かないようだったら、整形外科で診てもらいましょう。
こむら返りの「こむら」ってどの部分のこと?
そこまでハードな運動をしなくても起こってしまうのが、「こむら返り」…いわゆる“足がつる”という現象です。
「こむら」とはふくらはぎのことで、専門的には腓腹筋やヒラメ筋がけいれんした状態をいいます。
ですが、つる場所はふくらはぎに限りません。平滑筋のけいれんなので、土踏まずや足の側面、つま先などのほか、太もも、おしり、わき、腕などでも起こります。
なぜ「つる」のか、そのメカニズムはまだわかっておらず、筋肉疲労や老廃物の蓄積、血行不良、ミネラル(ナトリウム、カリウムなど)の不足などが考えられています。
運動によって汗をたくさんかき、脱水が起こると足がつりやすいとされているので、運動中の水分補給はしっかり行いましょう(熱中症対策にもなります)。
つったときはゆっくりと筋肉を伸ばすのが有効
次に、こむら返りが起こったときの対応、予防について紹介します。
まず、足がつったら動きを止めてけいれんをしている筋肉をゆっくり伸ばします。じつは、この“ゆっくり”というのがポイントで、徐々に筋肉を伸ばすことで緊張を和らげることができます。
自宅などお湯が使える場所であれば、蒸しタオルで患部を温めます。足がつったときは、冷やすよりも温めたほうが有効といわれているので、足湯も効果的です。
予防のために行いたいのは、ストレッチです。
アキレス腱を伸ばすストレッチや、長座になった状態から片足を曲げて前屈するストレッチなどがよいでしょう。
休憩中も完全に休まず、足をこまめに動かしておくと、運動を再開したときの足のつりを防ぐことができます。
さらに足首が硬いとつりやすいので、日ごろから足首回し(できれば足の指に手の指を挟んでグルグル回す)などをして、足首の関節を柔らかくしておくことも大切です。
足がつったら漢方薬「芍薬甘草湯」を!
こうしたこむら返りに効果があるのが、漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。芍薬と甘草から構成される漢方薬で、電解質のバランスを調整して筋肉の収縮を抑えたり、けいれんによる痛みの伝達を抑えたりする作用があるとされています。
「漢方薬は飲み続けないとダメ」、「すぐ効かない」と思われがちなのですが、この処方例を取ってみてもそうではないことがわかると思います。
注意点は“服用量”です。
芍薬甘草湯に含まれる甘草には、偽アルドステロン症によるむくみや血圧上昇の副作用があると報告されています。服用量については医師や薬剤師に相談し、適切な服用にとどめるようにしましょう。
何より運動のたびにつる、夜中に足がつるというように習慣化している場合は、腎臓や内分泌など全身の病気が関係している可能性もあります。一度、医療機関を受診したほうがよいでしょう。
運動はストレス発散にもなり、ココロとカラダの健康にプラスに働きます。ケガや故障しないように気を付けながら、カラダを動かしていきましょう!
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参考資料
こむら返り名医が教える最強の治し方 (マキノ出版ムック)
内科 Vol.124 No.5 こむら返り
プライマリ・ケア Vol.3 No.3 こむら返りに芍薬甘草湯
診断と治療 Vol.105 No.6 芍薬甘草湯
漢方と最新治療 Vol.25 No.2 スポーツと筋けいれん 原因と対策
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内