漢方ビュー通信

食事から健康を!誰でもできる「食養生法」

食事から健康を!誰でもできる「食養生法」

漢方薬剤師をやっていてよく聞くのは、「漢方に興味があるけれど、何から始めればいいかよく分からない…」という相談。
確かに、漢方薬に関しては病院や漢方専門のクリニックだけでなく、身近なドラッグストアをはじめ、薬局など、さまざまな場所で手に入れることができますが、種類も多く、価格もさまざまです。
また、自分の症状と照らし合わせながら、どの漢方薬が合うのかと判断をするのは、専門家でもない限りなかなか難しいことです。

しかし、症状が軽い人や、漠然と“健康になりたい” と思っている人には、薬に頼る前にもっと手軽な食生活の見直しから始めるのも一つの手だと思います。

そこで今回は、誰でも簡単に取り入れることのできる“食養生”についてお伝えします。

とてもシンプル、「食養生のキホン」とは

とてもシンプル、「食養生のキホン」とは

“私たちのカラダは毎日の食事からできている”と言われるように、日々体内に摂り入れる食材や栄養は、私たちの健康を語る上でとても大切。
何か特定の食材を摂ることで、一瞬にして変化が現れるわけではありませんが、毎日少しでも意識を向けることで、私たちのカラダは着実に変化していきます。
食養生とは、そんな私たちの健康にとって望ましい食生活を送ること。日本古来の典型的な食事スタイルが理想と言えます。
例えば次のようなことが食養生として挙げられます。

  • 気候風土に合ったその土地でとれる食材を食べる
  • 季節に合った「旬」のものを食べる
  • 食材をまるごと食べる
  • 玄米などの穀物、自然発酵食、豆類、野菜等を多く摂る
  • 加工食品や食品添加物をできるだけ避ける
  • 食事の量は腹七分目にする
  • 一口ごとに十分に噛む
  • 水分を摂りすぎない
  • 楽しい雰囲気で食卓を囲む
  • 食べ物に対して、感謝の気持ちを大切にする

このように、特別なルールがあるわけでもなく、とても基本的なことでシンプルです。
中でも、季節に合った「旬」の食材は、その季節特有の不調を改善すると言われています。もし何を食べていいか分からないという人は、旬の食材を中心に食べる習慣をつけることが健康への第一歩になるかもしれません。

症状別、おすすめ食材を紹介

症状別、おすすめ食材を紹介

食材にはカラダの不調にそれぞれ適したものがあります。
食材は何も特別なものではなく、ふだん冷蔵庫に入っているものやスーパーで簡単に手に入るものばかりです。
では、症状別におすすめの食材を紹介します。

<むくみ>

「水(すい)」の巡りが悪くなっていることによる症状なので、水分を排出しやすくしたり、巡りをよくする食材を食べるのがおすすめです。

【きゅうり、なす、すいか、とうもろこし、とうがん、もやし、昆布など】

<頭痛>

ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で、カラダの上部に熱がこもってしまったり、「気(き)」の巡りが悪くなることで生じることが多いです。上部の熱を発散させる食材を選びましょう。

【ミント、セロリ、菊花など】

<疲れ>

「気」の不足が生じているため、それを補う食材がおすすめ。
エネルギーアップでパワーがみなぎります。

【かぼちゃ、しいたけ、卵、玄米、キャベツ、豚肉、山芋、梅など】

<冷え>

「血(けつ)」の巡りが悪かったり、体内で熱を産生することができずに生じています。
巡りをよくする食材や、温める性質のあるものを摂取。「辛味」のある食材もおすすめです。

【シナモン、にら、ねぎ、生姜、えび、鮭、ラム肉など】

<胃腸の不調>

胃腸の症状は幅広いですが、基本的に胃に負担がかからず、消化にいいものを食べましょう。
自然な「甘味」のある食材は胃にやさしいです。

【りんご、みかん、とうもろこし、棗(ナツメ)、白菜、小松菜、シナモンなど】

<白髪や抜け毛>

エイジングや「血」の不足などが原因で起こります。
「腎(じん)」に作用するものや、それを補う食材を食べましょう。

【黒ごま、ひじき、黒豆、くるみなど】

<二日酔い>

カラダに潤いを与え、悪いものを排出することが必要不可欠です。
水分をたっぷり含んだ食材がとてもGOOD。

【梨、白菜、バナナ、はちみつなど】


いかがでしたか?
「食養生」とは言っても、特に難しいことはありません。
毎日の食事を、自身の体調に合わせて、意識的に食材から選ぶ習慣をつけてみてください。
ファストフードや脂っこいものも美味しいですが、それらの回数を少し控えて、ふだんの食事から健康なカラダをつくっていくように努力してみましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)


Jan 29 2021

薬剤師・森田博美

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