セルフチェック推奨!便の状態は、健康のバロメーター
なかなか他人に相談しづらい“便の悩み”。
例えば、コロコロとした便や下痢が続いたり、ベットリとした便が出たり、残便感があったり、しぶり便(便意があるのに便がほとんど出ないか少量であり、頻繁に便意を催す)があったりとさまざまです。
じつは、腸内の状態は、お腹周りの不快感にとどまらず、精神状態や免疫機能などにも影響を与えることが分かってきています。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、腸にまつわる悩みの中でも「便秘」について解説します。
便秘改善のために知っておきたいこと
一般的に便秘とは、まったく便が出ない状態をいいますが、医学的には「排便が2〜3日に1回程度あって、“なかなか便が出ない”、“便が出なくて苦しい”といった自覚症状がある場合」とされています。
大腸の働きのひとつに、“水分の吸収”があります。
ですので、便が腸内に長時間留まっていると、水分がどんどん吸収されて硬くなっていきます。
ひどい場合には石のように硬くなり、排便の際に強い痛みを感じさせてしまうこともあります。
その原因として、水分の摂取量が少ないこと、食物繊維の不足、腹筋の低下などにより腸の蠕動運動が弱くなってしまっていること、不溶性の食物繊維の過剰摂取などが考えられます。
そして、便秘の症状で多いのが、うさぎの糞のようなコロコロ便です。
とりあえず便が出ているから“問題ない”とするのではなく、腸内環境はカラダ全体(免疫・メンタル・肌の状態など)に影響するものなので、毎日スッキリとした便を出せるように、食事や運動、マッサージなどで調整していくことが必要です。
漢方からみる便秘へのアプローチ
便秘に対する一時的な改善法として、便秘薬や下剤などに頼ることは間違いではありません。
ごく稀に、少しでも早く効くことを願って用法・用量を守らずに服用している人を見かけますが、絶対にやめましょう。種類によっては、副作用が強い薬もあるので、慎重に扱う必要があることを忘れずに。
さて、漢方の視点から見ると、便秘は「気・血・水(き・けつ・すい)」のなかの「水」の不足、ストレスや緊張による「気」の異常、「血」の異常である「お血」などによって起こると考えられています。
便秘に対する医学的なアプローチとしては、便秘以外の症状が見られないときには下剤などの西洋薬を用いますが、便秘以外の症状も伴っている場合には漢方薬を用いて体質改善を行いつつ、排便の状態を整えるという方法を取ります。
便秘の治療で用いられる漢方薬は複数あるので、どれが自分に合っているのかを、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのがよいでしょう。
便秘を根本的に解消するには、体質改善と規則正しい生活習慣を行い、できるだけ自然な形で排便できるように対策をとっていくことです。
便秘は、そのまま放置しておくと、さまざまな疾患を招く原因にもなってしまいます。
自分の便を毎日チェックすることが健康のバロメーターにもなるので、便のセルフチェックを習慣化するようにしましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛