コロナ禍における、何となく疲れる、だるい…の原因と対策

6割の人がコロナ禍で疲れやだるさを感じている
コロナ禍でさまざまな制限のある毎日、オンとオフのメリハリがつきにくいリモートでの仕事、自宅でダラダラ過ごす時間の増加、気晴らしもできにくい――。
そんな状況から、「何となくだるい」「疲れる」といった調子の悪さをずっと抱えている人も少なくないでしょう。
株式会社ツムラが20~40代の男女1,800人に実施した不調に関する実態調査(インターネット)によると、全体の57.2%が身体面や精神面での「不調を感じた」と回答。うち15.3%は「ほぼ毎日」不調を感じていることがわかりました。(調査期間は2020年11月17~11月18日)
不調を感じているのは男性よりも女性に多く、症状別では「目の疲れ」が最多で63.7%、次が「疲れ・だるさ」(60.1%)、3番目が「肩こり」(59.6%)でした。
だるさや疲れは脳が出す「休め」のサイン

“だるい”は漢字で「怠い」と書き、「いつもの生活が送りづらいと感じる、といった疲れの感覚」をいいます。(国立がん研究センター・がん情報サービス)
厚生労働省によると、だるさや倦怠感は運動などを続けたときに起りやすい「末梢疲労」と、脳が感じる「中枢性疲労」とに分けられ、後者は“長時間にわたって考えごとをしたり、精神的な緊張状態が続いたりしたときに、脳の調整能力が十分に働かなくなることで生じる”とされています。
こうした中枢性疲労はだるさや疲れだけでなく、「やる気が出ない」とか、「集中できない」といった状態も引き起こします。
近年の研究では、こうしただるさや疲れという症状は、脳がカラダを守るために出すサインではないかと考えられています。
「休みましょう」というメッセージだというわけです。
休息、睡眠、入浴、栄養補給でだるさを解消

このようなことから、だるさや疲れを感じたら少しカラダを休めたり、睡眠を長めにとったり、バランスのよい食事を摂ったりといった方法で、回復を図っていくことが大切です。特にビタミンB群は疲労回復に役立つ栄養成分とされています。
また、就寝前の入浴は睡眠の質を高める意味で有効です。38~40℃の湯で半身浴をするとよいそうです。
一方で、紹介したような方法を試みても調子がよくならない場合は、内科、あるいは精神科、心療内科などで、一度相談することも考えてみましょう。
カラダの病気が原因で起こっているケースや、医師や専門家の支援があったほうがいいケースがあるからです。
漢方では「気うつ」や「気虚」とみなす
ちなみに、漢方に詳しい医師のなかには、この状況下でのだるさや倦怠感を、「気(き)」の巡りが滞る「気うつ」や、気の量が減る「気虚(ききょ)」という状態と捉えている人もいます。
気とは、漢方の考え方である「気・血・水(き・けつ・すい)」のひとつで、カラダを巡るエネルギーであると考えられています。
このような症状に用いられる漢方薬としては、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などが代表的なものとなります。
ただし、漢方薬の場合はその人の体力や不調の状態、程度などを総合的に照らし合わせて処方が決まりますので、いずれにしても医師や薬剤師によく相談することが大切です。
「頑張ってる!」と自分を褒めてあげる
先の調査では、のぞみ女性クリニック院長で産婦人科医の内山心美先生が、次のようなコメントを寄せています。
「未曽有のコロナ禍で、それぞれが当たり前に我慢を強いられています。まずはご自分自身を十分頑張ってる!と褒めてあげてください。そして、自分のカラダの声、ココロの声に耳を傾けてあげてください」
コロナ禍の先の見えない状況は精神的なストレスも大きく、ココロやカラダの不調の慢性化にもつながりかねません。無理をせず、ときに自分をねぎらいながら過ごしていきたいものです。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue.html
株式会社ツムラ・プレスリリース
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M104826/202101069429/_prw_OR1fl_4bcw4118.pdf
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/health_link/index.html
健康長寿ネット 疲労とは?疲労の原因と回復方法
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/hirou-busshitsu.html
漢方スクエア 自宅待機・テレワークのストレスと漢方
Vol.17 No.14 通巻364号 2020年7月22日
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内