早期発見が大事だから知っておきたい「最新乳がん検診事情」
30代から増え始め40~50代でピーク
小林麻央さんや北斗晶さんなど、このところ相次いで芸能人が告白している乳がん。
平成26年の患者調査によると、乳がんの患者数は20万人強で、30年あまりで5倍にも増えたとのこと。女性がかかるがんでは最も多く、女性の16人に1人が乳がんにかかっているという統計もあります。
乳がんが他のがんと違うのは、若い人にかかりやすいという点。30代から増えはじめ、40代後半から50代前半がピークになります。これは、女性ホルモンが関係しているためで、リスクファクターとしては次のようなものが上げられます。また乳がん患者が増えているのは、子どもを産まない女性が増えているのも一つの要因とされています。
- 初潮が早い
- 閉経が遅い
- 出産経験がない
- 肥満
早期の段階で治療をすれば9割助かる
乳がんは早期発見が可能ながんで、病気の進行具合を示す病期が1期、2期の早い段階で見つかるケースが少なくありません。悪性度などにもよりますが、早期の段階で治療を始めれば「9割以上が治る(5年生存率)」ことも分かっています。
だからこそ大事なのが早期発見で、がん検診を受けることです。
現在、がん検診は大きく、集団で行う「対策型検診」と、個人で行う「任意型検診」があります。市区町村が住民健診の一環として行っているのは対策型検診のほう。職場で受けるものは後者になります。
がん検診ではススメない「視触診」
国が推奨しているのは、乳がんの「マンモグラフィ検査(乳房専用のX線検査)」です。
以前の乳がん検診では「視触診」も行われていましたが、新たな知見などから、2016年度からは推奨されなくなりました。知っていましたか?
視触診とは、医師が目で乳房の異常を見つけたり、触診でしこりを見つけたりする検診法。そのやり方は医師によってまちまちで、視触診の方法を学んでいない医師が行うこともあって、発見率などの精度は必ずしも高くありません。視触診が推奨から外れた理由はここにあります。
ちなみに超音波検査(エコー)については、マンモグラフィ単独よりマンモグラフィ+超音波検査のほうが、40代の女性では発見率において有効性が示されています。現在はそれが死亡率の低下につながっているかどうか検証している段階です。
セルフチェックではわきの下を念入りに
医師の視触診は不要とされましたが、セルフチェックで早期発見のきっかけになることは多いので、定期的に続けることはとても大事。
また、乳がんが乳房のどこにできやすいのか、知っておくことも大切でしょう。乳房を縦横に分割すると、もっともできやすいのが、わきの下に近い「上・外側」部分、次が「上・内側」部分です。セルフチェックの際はとくに「上半分」に気を付けてみてください。
セルフチェックは月経後数日以内に行うのがポイント。素人でも1~2センチであれば分かるそうなので、習慣化して毎月チェックしたいものですね。
こちらも参考に!
厚生労働省 患者調査(傷病分類編)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/
国立がん研究センター
http://ganjoho.jp/public/cancer/breast/
http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2007/FIG08.PDF
日本乳がんピンクリボン運動
https://www.j-posh.com/cancer/mammacheck/
医療ライター・山内