がん10年生存率発表。がんを防ぐ5つの方法とは?
国立がん研究センターが「10年生存率」を公表
医療が進歩した今、がんは慢性病になりつつある――。最近よく耳にする言葉です。
実際、“がんサバイバー”として、がんと共に生きる人たちも増えています。
そのようななか、今年2月に国立がん研究センターが、がんの患者さんを10年間追った調査結果を発表しました。
この調査は、同センターらによる研究班(わが国におけるがん登録の整備に関する研究)が行ったもので、全国がん(成人病)センター協議会に加盟する20施設で、2000年~2003年の4年間にがんと診断された約4万5千人について、その後の10年間の予後(医学的な見通し)をみたもの(がん以外で亡くなる影響を除いています)。
昨年に続き、今回が2回目になる10年生存率の発表。この結果から、いろいろなことが見えてきます。
予後の良いがんは前立腺がん、婦人科がん
まず、10年生存率が高いがんを上位から5つ並べると次のようになります。
1. 前立腺がん 94.5%
2. 甲状腺がん 89.3%
3. 子宮体がん 81.9%
4. 乳がん 81.7%
5. 子宮頸がん 71.4%
これをみると婦人科系のがん、泌尿器のがんが高いことが分かります。ちなみに膀胱がんは71.2%。卵巣がんは少し低くて、45.7%になります。
では、こうしたがんではなぜ10年生存率が高いのでしょうか。それにはいろいろな要素がありますが、手術率の高さというものが一つ考えられます。
例えば、乳がんの手術率は95.6%、子宮体がんは95.7%になります。これはつまり、「手術が可能な早期の段階で見つかる」、あるいは「事前の抗がん剤治療などで手術が可能な段階にまでもっていける」ということ。
前立腺がんは、40.4%と手術の割合は低いのですが、このがんについては、手術以外の治療(放射線治療など)が盛んに行われているためだと思われます。
早期で発見するとやはり予後が良い
また、こうした予後の良いがんでも、早期にあたる「1期(1期の条件はがんによって異なります)」に発見されれば、前立腺は100.0%、甲状腺がんは97.2%、乳がんは95.0%、子宮体がんは93.8%というように、結果はさらによくなります。
また、表に挙げた5つのがん以外でも、胃がんの1期は93.9%、大腸がんの1期は95.3%、腎臓がんの1期は93.0%と、軒並み10年生存率は高くなります。
検診と5つの予防法でがんリスクを減らそう
つまり、それだけ“早期発見”が大事ということなんです。
そのためには、自治体の検診なども行われている、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの検診は少なくとも決められたとき(受診のはがきなどが来たとき)にしっかり受けたいものです。これらは検診で死亡率が下がる効果がきちんと示されています。
同時に、自分でできる予防も大事。
「禁煙」「節酒」「減塩・野菜やくだものをとる」「カラダを動かす」「適正体重」の5つを守ると、何もしない群より男性で43%、女性で37%がんリスクが下がるとのこと。
自分自身のためだけでなく、家族や自分を支える多くの人たちのためにも、自分のカラダは意識して守りたいですね。
こちらも参考に!
<全国がん(成人病)センター協議会>
全がん協生存率調査
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/
<国立がん研究センター>
プレスリリース
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/0216/index.html
「科学的根拠に基づくがん予防」(PDF)
http://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/knowledge/301.pdf
医療ライター・山内