食事でストレス解消している人は“胸やけ”にご用心!
食べ過ぎ、飲み過ぎ、偏った食事は要注意
テレワークが普及し、家にいる時間が長くなった人も増えたこの1年──。
何となく胸のあたりがムカムカする、ゲップがとまらない…そんな「胸やけ」症状に悩まされている人はいませんか。
胸やけとは、みぞおちの上あたりに表れる不快感のことで、胃酸が食道に逆流することで生じます。
特徴的な症状は、のどの灼熱感、酸っぱいものがこみ上げる(呑酸)、喉がヒリヒリする、ゲップ、詰まるような感じがするなどで、食後2~3時間ぐらいまでに表れます。
原因は、食べ過ぎや飲み過ぎ、そして偏った食事内容(脂っぽいもの、香辛料などの刺激物、甘いものなど)が考えられます。その他、コーヒーや炭酸飲料、柑橘類もリスクになります。
コロナ禍でストレスフルな毎日。
食事は手軽なストレスの解消法のひとつになりますが、何事も限度が必要。自分の胃腸の調子と相談しながら、食事と向き合うことが大切です。
意外に知られていないのが「姿勢の悪さ」
さらに、タバコやストレス、ガードルなどによる締め付け、食後すぐに横になる(あるいは就寝前に食事をする)、寝るときにカラダの右側を下にする、といったこと以外にも肥満、加齢なども胸やけの原因となるので気を付けましょう。
そしてもうひとつ、意外と見落としがちな原因が「姿勢の悪さ」です。
背中が丸まっている高齢者に胸やけを訴える人が多いことは以前から知られていますが、これは加齢だけではなく、“前屈みの姿勢”に問題があります。
前屈みの姿勢を続けて腹圧が上がると、胃と食道の間にある筋肉(食道下部括約筋)に負荷がかかり、胃酸が逆流しやすくなります。これが胸やけをもたらすというわけです。
仕事でパソコン作業をする人も多いと思いますが、肩こりや眼精疲労の観点からだけでなく、胃腸への負担を軽減するためにも、正しい姿勢を維持するように工夫していきましょう。
胸やけの予防として、すぐに始められること
胸やけを予防するには、先に挙げたようなその原因となる食事を控えることが第一。
そしてもうひとつ、胃の中に食べものが残っている食後2~3時間はできるだけ横にならないことです。どうしても横になりたいときは、少し上半身を起こして横になる(寝る)とよいでしょう。
肥満ぎみな人は減量を。体重が減ることで胸やけが改善されることもわかっています。
たかが胸やけと思いがちですが、意外とQOL(生活の質)を下げたり、仕事の集中力を妨げたりする要因になります。まずは自分でできることから始めていきましょう。
症状が続くようなら医療機関へ
それでも症状がずっと続くようなら一度、医療機関で診てもらったほうがいいかもしれません。
胸やけを起こす病気には、胃食道逆流症や食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍などがあります。食道がん、胃がんなどの重大な病気でも胸やけを起こすことがありますので、念のため調べてもらうことも大切です。
胸やけに効くとされる市販薬もいいのですが、飲み続けているだけでは大きな病気が見逃されてしまうこともあるので、一時的な服用に止めるようにしたほうがよさそうです。
胸やけの治療では、胃酸の分泌を抑える薬や胃酸を中和させる薬以外に、消化管の運動を改善させることを目的に漢方薬が用いられることもあります。半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などが代表的な薬です。
コロナ禍で、まだまだ大変な日常だと思いますが、逆に健康的に過ごすことを意識してみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参考
日本消化器病学会 胃食道逆流症(GERD)ガイド
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/gerd.html
『決定版 漢方』(花輪壽彦監修)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内