体調や症状に合わせた薬のチョイスが大切です!
薬は、大きく西洋薬と漢方薬に分けられますが、みなさんはそれぞれにどのようなイメージを持っていますか?
例えば、西洋薬は対処療法で速効性があるもの──、逆に漢方薬はカラダに優しく、緩やかに実感し、体質改善に役立つといったイメージでしょうか。
当然ながら、実際には、すべてがそのイメージに当てはまるわけではありません。
漢方薬の中にも、比較的早く効果が表れるものもあれば、薬なので副作用が表れる場合もあります。西洋薬も然りです。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、漢方薬の特徴について解説します。
西洋医学と漢方医学、それぞれの得意分野とは
西洋医学では、病変を検査数値や画像データをもとに明らかにし、病名を特定します。そして、科学的に根拠のある方法で治療をしていきます。
そのため、西洋医学は生活習慣病の数値を正常値に近づけたり、細菌やウイルスなどの感染症の改善だったり、炎症や痛みを短時間で抑えたり、といったことを得意分野としています。
一方、漢方医学では、不調に感じる部分ではなくカラダ全体を診ていきます。また、特定の病名ではなく、「証(しょう)」や「気・血・水(き・けつ・すい)」の状態を診て、どこに問題があるかを探って、その人に合った治療法を決めていきます。
一般的に、それらのバランスを整えていくことを目的とするので、自律神経やホルモンの乱れによる不定愁訴の改善、自然治癒力を高め疾病の予防につながるような分野を得意としています。
西洋医学と漢方医学、どちらが優れているということではなく、ケースバイケースで得意とする治療法を柔軟に選択していくことが大切です。日頃から、相談しやすいかかりつけの医療機関などを見つけておくと安心でしょう。
勘違いされやすい漢方薬
民間療法とは、広く(昔から)民間で伝承されているような治療法で、その経験に基づくアドバイスなどが、本来の古典的な民間療法であると考えられます。例えば、「おばあちゃんの知恵袋」的なもので、「〇〇のときには、生姜湯を」みたいな言い伝えです。
漢方薬と、よく勘違いされがちなのが、ドクダミやゲンノショウコ、センブリなどですが、これらは民間薬であり、漢方薬ではありません。
また、サプリメント(栄養補助食品)や健康食品もその名の通り、あくまでも食品のひとつです。
漢方薬は、基本的に2種類以上の生薬を定められた分量で配合し、医薬品として認定されたものをいいます。
そのため、漢方薬も西洋薬と同様に、飲んですぐ効果があらわれるものや、反対に副作用が出るものもあります。
ですから、健康食品やサプリメントのように、手軽に服用するものではなく、そのときの症状や体調に合わせて、有資格者が処方を決めていく必要があります。
また、漢方薬には多くの種類があり、1つの症状に対して、必ずしも1つの処方しかないということではありません。さらに、個々の体調、併用薬や既往歴なども処方の判断基準になりますので、自己判断での服用は避け、漢方に詳しい医師に相談して、自分に合った漢方薬を服用するようにしましょう。
いずれにしても、薬はそのときの自分の目的と状態(体調)に合わせて選択していく必要があります。
西洋薬、漢方薬どちらが良いとか悪いとかという問題ではなく、選択肢や可能性が広がるものとして捉えるのがよいでしょう。
ちなみに、西洋医学と漢方医学、両方の視点から患者を診て、その人にあった薬を処方することができる日本の医療は、世界的にみても非常にまれなことです。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛