漢方薬のイメージ、もしかしたら間違っているかも?
「漢方薬」のイメージとして、みなさんはどのように感じていますか?
すでに服用している人もいるでしょうし、なかには漢方薬なしの生活は考えられないという人もいるかもしれません。
ですが、服用した経験がない人や、今の生活において必要性を感じていない人の中には、ネガティブな印象を持っている人もいるのではないでしょうか。
例えば、漢方薬に対する先入観としてよく耳にするのが、味が苦い、服用のタイミングが難しそう、金額が高いのではないか…などです。また、漢字だらけの名前で難しいイメージもあるので、一層敷居が高いように感じてしまいますよね。
そこで今回は薬剤師である筆者が、漢方薬のネガティブに思われていそうなことや、もしかすると間違った認識を持っている人に対して解説します。
漢方薬は、効能によって味が変わる?
まず始めに、「味」についてです。
そもそも漢方薬の原料となる生薬は、そのほとんどが植物を起源としており、他に動物由来のものや鉱物などもあります。
“良薬は口に苦し”といわれるように、苦味のある生薬は、熱を冷ましたり、排泄を促したり、消化を助ける働きなどがあるとされています。
苦味が特に強いとされる代表的な生薬に、大黄(だいおう)、黄柏(おうばく)、黄連(おうれん)などがあります。これらの生薬を原料にした漢方薬が一般的に服用されるケースが多いため、漢方薬に苦いという印象が付いたのかもしれません。
ちなみに、生薬は効能によって味に特徴があるため、苦いものだけではなく、酸味のあるものや、甘いものなどさまざまな味があります。
飲みやすい形状へと変化している漢方薬
漢方薬は、古くからのイメージもあり、煎じて飲むことを想像している人も多いかもしれません。
しかし、今ではそのほとんどが、エキス顆粒であったり、細かく刻んだ散剤だったり、ハチミツなどで丸めた丸剤だったり、錠剤のタイプだったりしますので、手間がかからず飲みやすく、携帯もしやすいものになっています。
先入観で、煮出すのに時間がかかるし難しい、面倒臭いと思っている人も多いでしょうが、薬も時代ともに進化し、今のライフスタイルに寄り添った形状へと変化しているので、身近に取り入れやすくなっているといえるでしょう。
漢方薬の中には保険が適用されるものも
気になる金額面についてですが、漢方薬は高額でなかなか手を出しづらいと考える人も多いと思いますが、じつは、そうではないのです。
漢方薬にはたくさんの種類があり、そのほとんどに健康保険が適用されます。これらは「医療用漢方製剤」といわれ、厚生労働省から認可をうけた医療用医薬品です。そのため、病院などでこれらの漢方薬を処方してもらうときは、負担が少なくてすみます。ただし、健康保険を使わない自由診療で漢方薬を処方しているところもありますので、その場合は健康保険がきかないので、全額、患者負担となります。
医師に適切に薬を処方してもらい、さらに保険適用で済めば、“高い漢方薬”というイメージではなくなるのではないでしょうか。
最後に伝えておきたいこととして、漢方薬も薬である以上、副作用があるということ。
その症状は、処方によって異なりますし、その時の個々の体調によってもさまざまです。
これから漢方薬を試してみようと考えている人は、それらも踏まえて専門の医師や薬剤師に相談して、納得した上で服用を始めるとよいでしょう。
いかがでしたか?
今まで漢方薬に興味はあったものの、いろいろな先入観やイメージによって、試すことができなかった人は、少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。
今後の体調管理の選択肢のひとつに、「漢方薬」も増やしてみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛