皮膚を無意識に掻いたりむしってしまう…皮膚むしり症とは
イライラしたり、ストレスを感じたりした時に、皮膚を掻く、爪を噛む、毛を抜くといった行動を起こす人がいます。それらの行動がいずれ癖になってしまい、止めたくても止められなくなっている人を度々目にします。
また、こういった行動は本人もそうですが、周りの人も気になってしまい、複雑な気持ちにさせてしまっていることも…。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、無意識のうちに繰り返し皮膚をむしってしまう「皮膚むしり症」について解説します。
精神的ストレスが原因!?
皮膚むしり症は、かゆみが生じる身体疾患や皮膚疾患ではないにもかかわらず、緊張感や不安感など精神的にストレスを感じたときに、無意識に皮膚を繰り返しむしることを止められない症状です。圧倒的に女性のほうが多く、はっきりとした原因がわかっていません。
この行動は、不快な感情を和らげるために行っていると考えられていますが、繰り返されることで皮膚が傷ついたり、出血したり、化膿したり、痛みを感じるようになり、日常生活に支障をきたすようになります。そして、皮膚が傷ついていても尚、止めることができなくなっている状態のことをいいます。
皮膚をむしる行為としては、皮膚を掻くこと以外にも、爪を噛む、毛を抜く、かさぶたを剥ぐ、吹き出物を潰すなど、人によってさまざまです。
いずれも衝動的に行ってしまうため、痛い思いをするほか、他人からの印象もよくありません。
皮膚むしり症は、理解されにくい、つらい症状のひとつといえるでしょう。
症状を改善する方法は…
皮膚むしり症を改善していくには、まず“自分が皮膚をむしっていることを自覚する”ことから始めましょう。そして、どんなときにその症状が出やすくなるかを把握することも大切です。
次に、皮膚をむしる行為を止めるために、手を踏んで座ったり、手をグーにして動かさないようにしたり、物理的に手を動かせないように意識しましょう。
精神面では、イライラや不安感、緊張感が強いときなど自分の感情が落ち着かない状態を極力減らすようにすることも大切です。
また、そういった行動に加え、引き金になるような不安感などに効果がある漢方薬を活用することもおすすめです。
ちなみに、漢方薬は長期的に服用しないと効果を感じにくいといった印象を持っている人が多いようですが、精神的な症状の緩和につながる漢方薬は、比較的早く効果を発揮するものも存在します。
抑えられない感情を、皮膚をむしることで安定させるのではなく、徐々に感情をコントロールできるように漢方薬でサポートし、内面から自分を変えていく方法も選択肢のひとつでしょう。
長期間、こういった症状で悩んでいたり、改善方法が見つけられなかったり、安定剤や抗うつ剤などを頼ることに抵抗があったりする人は多いと思います。
症状が生涯続く場合もあるので、まずは、医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛