漢方ビュー通信

妊娠中のマイナートラブルと漢方の関係

妊娠中のマイナートラブルと漢方の関係

マイナートラブルって知っていますか?

お腹の中に新しい生命が宿り、育つ──。
妊娠はとても神秘的なものですが、一方で、カラダの中に自分とは異なる生命を育てているため、それだけカラダに負担がかかります。
妊娠に伴って生じる体調の変化のうち、特に不快に思う症状のことを「マイナートラブル」といいます。
具体的な症状は、便秘や痔、眠気、イライラ、疲れ、肩こり、お腹の緊張、胃の圧迫感、腰痛やその周辺の痛み、むくみ、こむら返りなどで、つわり(吐き気や臭いに敏感になるなど)もマイナートラブルのひとつと考えられています。

個人差が大きい一方、ガマンすることが多い

こうしたマイナートラブルは、妊娠によって起こる女性ホルモンの変化や、胎児の成長によってお腹が大きくなるという身体的な変化、そして心理的な変化(ストレスや緊張)などが影響していると考えられています。

安田女子大学(広島市)看護学部で実施した妊婦さんへの聞き取り調査によると、胃腸系、婦人科系、骨・筋肉系など、95症状にも上ることがわかりました。

症状は個人差も大きく、治療しなくても母子に影響がないこと、また経過と共に解消されることが多いため、症状はつらくてもそのままにしていることが少なくないようです。
しかし、妊娠は分娩や育児に向けていろいろと準備をする、大切な期間ともいえます。
対処できるのであれば何とかしたい。そう思う妊婦さんも少なくないでしょう。

個人差が大きい一方、ガマンすることが多い

食事の工夫や運動でカラダを冷やさないこと

日本看護協会では、マイナートラブルのセルフケアとして、「腰やお腹を冷やさない」「適度な運動(妊婦体操やマタニティビクス、マタニティヨガなど)も取り入れてみる」などを紹介しています。
消化のよい温かいスープや汁ものもよいとのこと。つわりなどがあると食べものを受け付けなくなるので、無理をしない範囲で工夫することが大事です。

特に寒い今の時期は、カラダを温める対策をとるのもおすすめで、こうしたケアを試しながら、体調を整えていくということも必要かもしれません。
ケアの方法や、ケアをしてもいいか不安を覚えたら、通っている産婦人科にいる助産師さんなどに相談してみましょう。

マイナートラブルに漢方薬が使われることも

まだ漢方薬を服用したことのない人へ

マイナートラブルを解消する手段として、漢方薬が用いられることもあります。
漢方では独自の理論に基づいて体質を診るオリジナルの“ものさし”があります。そのひとつが「気・血・水(き・けつ・すい)」です。
妊娠中はこのなかの「」や「」の巡りに異常が起こりやすく、それらの異常を整える漢方薬が使われることがあります。
実際、マイナートラブルに対して適用される漢方薬もあるので、気になる人はかかりつけの産婦人科医に相談してみるのもいいと思います。

ただし、カラダに優しいというイメージがある漢方薬ですが、自然由来であっても薬であることに変わりはありません。まれに副作用が出ることもありますので、決して自己判断では服用しないこと。処方された漢方薬であっても、服用後に体調がすぐれないようなことがあれば、クリニックや病院に相談をして対応を仰ぎましょう。

参考

助産雑誌 vol.73 no.7 マイナートラブル概論

助産雑誌 vol.73 no.7 妊婦のマイナートラブルと種々の症状に対する漢方薬などの適応

現代の妊婦のマイナートラブルの種類,発症率及び発症頻度に関する実態調査
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf

日本看護協会 妊娠中の体の変化とマイナートラブルについて
https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/oyakudachi/kanren/sasshi/room/index04.html

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Feb 10 2022

医療ライター・山内

関連コンテンツ