漢方ビュー通信

乾燥は、見た目はもちろん免疫機能にとってもNG!

乾燥は、見た目はもちろん免疫機能にとってもNG!
肌がカサカサする、ドライアイが辛い、鼻の粘膜が渇く、喉が乾いてむせてしまうなど、「乾燥」は私たちにさまざまな不快症状をもたらします。

乾燥によってすぐに実感する症状も多いですが、じつは免疫の低下にもつながり、いつの間にか環境の変化に弱い体質になってしまうこともあります。
例えば、感染症や花粉症、アレルギー症状など、時期的な症状も合わせると、1年を通して不調が続いてしまうことも…

そこで、今回は薬剤師である筆者が、乾燥と免疫の関係について解説します。

乾燥はカラダのバリア機能を低下させる

私たちは常に空気を吸っていますが、大気中には酸素だけが含まれているわけではなく、私たちの健康に害を与える汚染物質や細菌、ウイルスなどさまざまな有害物質が含まれています。

人が呼吸する際に、最初に空気が通る器官が喉と鼻です。
喉と鼻には粘膜があり、これらの粘膜にはIgAなどの免疫物質が存在し、異物を排泄する免疫機能が備わっています。免疫物質は、異物が侵入した場合、鼻水や唾液をくしゃみや咳、痰として外に排泄してカラダを守ります。

ただ、この粘膜による免疫は、乾燥に弱いという特徴を持っています。そのため、乾燥しやすい生活環境や体質であることは、“バリア機能”を低下させてしまうということになるのです。

腸内環境を整えることで、粘膜免疫の強化に!

腸内環境を整えることで、粘膜免疫の強化に!

免疫物質が存在する粘膜は、喉や鼻だけではなく腸管内にも存在しています。そして、腸内細菌で作られている短鎖脂肪酸がIgAの産生を増強しています。

そのため、腸内環境を整えるために、納豆や味噌、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品やフコイダン、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ペクチン、マンナンなどの“ネバネバ成分”を含む繊維質の食材を摂り入れることは、粘膜免疫を強化するために役立ちます。
逆に、便秘や下痢、偏食をしていたりすると、悪玉菌が増え粘膜免疫の低下につながるとされています。

美容のためにも健康を意識する!

外部と接する部分(喉、鼻、目、肌など)には、バリア機能が備わっているので潤いをキープしておくことが健康維持のために必要なことです。また、潤いを保つことは美容の基本でもあります。

さらに、潤いが必要なのは腸も同じです。
腸が潤っていると、体内の老廃物や有害物質もしっかり排泄することができるので、肌や口角、口内の炎症なども起こりにくくなります。

健康であることは美容にもつながり、美容を意識することは健康につながります。

ですから、表面的なケアだけではなく、カラダの中からも対策することが、根本から元気とキレイを手に入れるのに必要なことなのです。

原因不明の微熱には漢方がオススメ

そして、それには漢方薬の活用も欠かせないものです。
漢方薬の中には、喉や鼻、目、腸内、肌など局所的に作用するものもあり、ピンポイントでケアできたり、総合的に体質改善が望めるものもあります。

まだまだ、しばらく乾燥する時期は続きます。
乾燥で悩んでいる人や何か対策を模索していた人は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。

Mar 4 2022

薬剤師・大久保 愛

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