漢方ビュー通信

漢方外来などの受診で心がけたいポイント

漢方外来などの受診で心がけたいポイント

漢方薬を使用している医師はおよそ9割

日常生活のなかで生じるさまざまな健康問題や不調を解決してくれる、その手段のひとつが漢方薬。伝統医療というイメージがありますが、意外にも、日本の医療現場では多くの医師が漢方薬を使っています。

日本漢方生薬製剤協会は医師を対象に漢方薬の処方実態について調査を実施しています(2011年)。それによると、「漢方製剤(注:漢方薬)を現在使用していると答えた医師は89.0%。前回(2008年)の調査では83.5%だったので、5ポイント以上増えていました。
また、「漢方製剤を第一選択薬とする場合がある」は59.0%(同52.7%)、「治療効果が高い」は50.2%(同43.4%)、「満足度が高い」が53.6%(同49.0%)で、いずれも前回の調査よりも増えていたのです。

漢方では「四診」という診察法が行われる

望診・聞診・問診・切診

西洋医学と漢方医学を診る医師が別々の中国と違い、日本では医師がその人に適切だと判断すれば、西洋薬も漢方薬も処方してくれます。
では、漢方薬を処方してもらう際に、どんなことが必要なのでしょうか。まずは受診する際のポイントについて紹介します。

漢方では「四診(ししん)」といって、顔色や表情、態度、姿勢、体型などをみる「望診(ぼうしん)」、自覚症状はライフスタイルなどを聞く「問診」、声の大きさやトーン、咳の出方、呼吸音、体臭などをみる「聞診(ぶんしん)」、カラダに触れて状態をみる「切診(せっしん)」などが行われます。また、舌やお腹の状態をみたりすることもあります(※)。
※こうした診察をしないケースもあります。

化粧や香水は×、ガードルやワンピースも控えて

漢方の診察では、顔色や肌つやなども重要な病気のサインになると考えられているので、できるだけ化粧をしないで受診しましょう。もちろん、香水はNGです。舌を診ることもあるので、事前に舌磨きなどはせず、ありのままの状態を残しておくことも大事といえます。

問診では症状だけでなく、ライフスタイル(食事、睡眠、お通じ、ストレス、仕事のことなど)についても聞かれることがあるので、留意しておきましょう。
さらに、お腹を診るときのために、ガードルなどカラダを締め付ける下着は身に付けてこないのがベターです。ワンピースも裾からめくらなければならないため、できれば避けたほうがいいでしょう(下腹部や足にタオルなどをかけてくれるところもあります)。

治療は医師と二人三脚で進めていくもの

体重や血圧、血液検査の結果は客観的な指標であり、誰の目にも見ることができます。しかし、自覚症状は本人(患者)だけが感じているもので、医師はもちろん、他の人が客観的に知ることはなかなか難しいといえます。

ですので、診察の際は自分の悩み、不調、症状をしっかり医師に伝えること。これを言ったら笑われるとか、怒られるとかを気にしないで話してみましょう。
これは、治療を始めてからも同様です。漢方薬の場合、すぐに効果を実感できるものもあれば、じっくり実感していくものもあります。また、カラダにやさしいというイメージですが、漢方薬も“薬”ですので、人によっては副作用が現れることもあります。

医師は受診者(患者)のこうした情報をもとに、処方を変えたり、増やしたり、同じ薬を続けていくことを決めたりしています。
「医師任せ」ではなく、二人三脚で治療を進めるのが望ましいのです。

参考

日本漢方生薬製剤協会
https://www.nikkankyo.org/serv/serv1.htm

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jul 5 2022

医療ライター・山内

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