知っておきたい更年期前後から起こる「指の変形」
指先が腫れて変形していく「ヘバーデン結節」って?
少し前に、指にスマホをひっかけて長時間持ち続けることで生じる、“指の変形”が話題になりました。指の関節(特に小指)に負担がかかることが原因で変形するのだとか。
しかし、スマホを持つ・持たないとは関係なく、40歳を過ぎたあたりから指の関節が変形することがあることを知っていましたか?
指の変形の1つが「ヘバーデン結節」というもの。
指の第一関節(最も先の関節)が変形して曲がってしまう関節の病気です。この病気を報告した英国の医師ヘバーデン氏の名前が病名の由来です。親指以外の手の指で起こります。
症状は、まずは指が赤く腫れて、動きが悪くなります。関節に小さな水ぶくれ(ミューカスシスト)ができることもあります。痛みを伴うこともあり、スマホの操作がしづらかったり洋服のボタンを留められない、フライパンや包丁を持てないといったことが起こります。一方で、まったく症状が出ないこともあり、気づいたら変形していたというケースもあるようです。
女性ホルモンの低下が影響している可能性も
このほか、指の第二関節(真ん中の関節)に起こるのが、「ブシャール結節」で、親指の付け根に起こるのが「母指CM関節症」。いずれもヘバーデン結節と同じように、腫れや関節の変形が生じますが、痛みがあるケースと症状がないケースがあります。
では、これらの変形がなぜ起こるかというと、原因については今のところよくわかっていません。
ただ、40代以上の女性に多くみられることから、女性ホルモンが影響している可能性が示唆されています。エストロゲンは腱などを柔軟に保つ働きがあるため、これが減少すると関節にトラブルが起こりやすいのです。
また、母親や祖母に指の変形があると、その子(娘)も指の変形が生じやすいことから、遺伝が関連しているという説もあります。
痛みがあるときはなるべく指を使わないこと
症状がない場合もあるとはいえ、ネイルなど指先のオシャレが気になる女性にとって、指の変形はちょっと気になるところです。 日本整形外科学会によると、治療には薬物療法やテーピングによる固定などがあり、関節内に少量のステロイドを注射する方法も有効とされています。いずれにせよ、医師と相談しながら治療を進めていくことになります。
こうした治療をしても痛みが治まらないとき、あるいは変形がひどくて日常生活に支障をきたすときは、手術(関節を固定したり、シリコンでできた人工関節に替えたりする)が検討されます。 なお、漢方薬にも「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」など、手の炎症や痛みの治療に有効なものがあり、補助的に使われることがあります。
全身の病気で関節が変形することも…
40代以降の指の変形でもうひとつ大事なのは、「関節リウマチ」という病気です。体内の免疫のしくみに問題が生じて、関節の中にある滑膜(かつまく)という組織が増殖していく自己免疫疾患のひとつです。
関節リウマチというと、たいへんな病気というイメージがありますが、今は血液検査と関節の超音波検査で、早期発見が可能になり、また有効な薬が登場したことで、昔のような大きな変形などが起こりにくくなっています。
ヘパーデン結節にしても、関節リウマチにしても、早期発見が大事です。気になる指の変形や兆候があったら、まずは整形外科などで相談するようにしましょう。
参考
日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「へバーデン結節」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/heberden_nodes.html
日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「関節リウマチ」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rheumatoid_arthritis.html
日本東洋医学雑誌72(3)「手指変形性関節症の治療における桂枝加朮附湯の有用性」
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
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https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内