漢方ビュー通信

若々しさを保つために…カラダの中からのケアを意識しよう!

 

私たちの肌がいつまでも若々しい状態でいるために──
少し専門的になりますが、それにはコラーゲンやエラスチンを作り出し、分裂能力を持つ「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」の働きが重要とされています。
もちろん、外からの保湿や日焼け止め、洗顔などのケアも必要ですが、エイジングケアやしっかりとした健康管理を行うことで、カラダの中からコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成を促すことも大事なのです。
また、見た目が若々しいことは、健康の証ともいえるので、可能な限りケアしていきたいところでもあります。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、肌と健康の関係について解説します。

肌に良いだけじゃない?コラーゲンについて

私たちのカラダは多くのタンパク質で構成されていますが、その約1/3はコラーゲンです。コラーゲンといえば、“肌”を想像しやすいですが、髪の毛や関節の軟骨、血管なども構成しています。

そして、コラーゲンにはⅠ型コラーゲン、Ⅱ型コラーゲン…と続き、29種類ものコラーゲンが存在しますが、その9割を占めているのがⅠ型コラーゲンで、主に皮膚や骨、血管、角膜などに使われています。構成は、グリシン、プロリン、アラニンなどのアミノ酸となっています。

カラダの中からの“美”対策も必要な理由

さて、肌に潤いや弾力をもたらすコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などは、肌の真皮にある線維芽細胞によって作られています。
そして、その細胞のひとつひとつには、エネルギーをつくる器官であるミトコンドリアが存在しています。つまり、線維芽細胞が活性化するためには、ミトコンドリアの数や質が良い状態である必要があるのです。
ところが、ミトコンドリアは年齢や生活習慣などによって数が減ったり、質が落ちたりしてしまいます。
そうなると、老化が進み、疲れやすく、冷えやすく、免疫が低下している状態に陥りやすくなります。

また、その他にも年齢によって減少してしまうのが、女性ホルモンのエストロゲンです。
エストロゲンには、コラーゲンやプロテオグリカン、ヒアルロン酸の生成を促す働きがあるため、食事や良質な睡眠をたくさん取るなどして増やす努力が必要です。

もし、肌の状態を同年代の人と比較して自信をもてないと感じてしまった場合には、外側からのケアだけではなく、カラダの中からのエイジングケアも行う時期に差しかかっているのかもしれません。
体内の状態は、肌や髪の毛、爪などの外見に現れるものです。内側からの“美”対策も意識していきましょう。

お肌の不調ケアにつながる漢方薬は?

漢方薬

肌を若々しい状態に保つためには、線維芽細胞の活性化が必要ということが分かったかと思います。なので、それを阻害する行動(外気による乾燥、紫外線、夜更かし、甘い食べ物の食べ過ぎなど)を避ける生活が有効です。

また、同時に漢方薬を併用することも検討してみませんか。
例えば、冷えやすく肌が乾燥しがちでかゆみがある場合には「当帰飲子(とうきいんし)」、イライラして肌が乾燥しやすく湿疹も見られる場合には「温清飲(うんせいいん)」などが用いられることがあります。

皮膚は内臓の鏡」という考え方の通りで、外側からだけケアだけではなく、内側からのケアも必要です。両方からのアプローチでトータルケアをしながら、肌のケアをしたいと考えている人は、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
最近では美容皮膚科の分野でも、漢方薬を積極的に取り入れ、個々の患者さんに最適の治療方法を提案しているところが多いようです。ぜひ、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談して、自分に合った処方をしてもらい、ケアされることをおすすめします。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Aug 19 2022

薬剤師・大久保 愛

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