漢方ビュー通信

ダイエット成功の鍵は、食事よりも寝ること!?

なかなか痩せることができない…、どうしても食べてしまう…、食欲が止まらない…、そんな状態が続くことで、自分はダイエットに向いていないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

いざ、ダイエットを決意したとき、“我慢すること”は一般的です。ところが、カラダがムリをしているときや疲れているときに、どうしても抑えられないほどの激しい食欲が湧いてくることがあります。
この現象、じつは食欲と睡眠時間が密接に関係しており、睡眠不足によって引き起こされるとされています。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、健康的に食欲をコントロールし、ダイエットにつなげる方法を紹介します。

食欲と睡眠に関係するホルモン

食欲を増進するホルモンを「グレリン」、それに対して食欲を抑制するホルモンを「レプチン」といいます。
これらのホルモンは睡眠時間と関係しているのですが、睡眠が不足するとグレリンが増加し、レプチンが減少してしまいます。さらに、この状態になると、食欲を増進させるホルモン「オレキシン」も連動して増加させてしまいます。

したがって、睡眠不足は食欲を増進させてしまうため、食べ過ぎ傾向となり、ダイエットを妨げることになるのです。また、睡眠不足が続くことで交感神経も優位になりやすく、いわゆる“ストレス食い”に走りやすくなってしまうことも…。

まずは、しっかりと睡眠時間の確保から

睡眠時間が少ない、食べ過ぎ、運動不足の3つの悪条件が揃っている場合、肥満になりやすい生活習慣に陥っているということが予想されます。
また、先述したように、ホルモン分泌も作用しているので、気合いや精神論で食欲を抑えることは困難な状況にあります。

ダイエット中の人、これからダイエットを始めようと考えている人は、まず睡眠時間を毎日7時間前後、とれるように調整してみることからはじめてみましょう。そうすることで、自然と摂取カロリーのコントロールがしやすくなると思います。

睡眠がもたらすさまざま恩恵とは

これまで、睡眠の重要性について解説してきましたが、その他にもさまざまな恩恵があります。
成長ホルモンの分泌が促され細胞の修復が促されたり、脳の休息に働いたり、骨を丈夫にしたり、ホルモンバランスや免疫を整えたり、代謝を促したりと、美と健康にとって良いことづくしです。
ですから、睡眠がきちんととれていないということは、脳にもカラダにも影響を与えることになるので、結果的に肥満や多岐にわたる不調を引き起こしてしまう原因になるのです。

最近、痩せにくい、調子が悪いなと感じている人は、睡眠がきちんととれていない合図かもしれません。まずは、食事制限を始めるのではなく、就寝時間や起床時間の固定を心がけてみましょう。

また、睡眠の質をサポートする漢方薬として、「加味帰脾湯(かみきひとう)」や「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」、「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」などもあります。そして、肥満症に対しては「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」や「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などが挙げられます。
もちろん、個々の体質や体調によって処方は異なりますので、気になった人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談しながら、実践してみてくださいね。

漢方薬

このように、睡眠と肥満症は密接に関係していることが分かったかと思います。
まず優先すべきは睡眠時間の確保、それで自分の生活習慣を変化させながら漢方薬でサポートしてあげることで、より健康的で効果的に肥満症対策に取り組むことができると思います。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Aug 24 2022

薬剤師・大久保 愛

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