女性なら必ず来る「閉経」について知っておこう
永久に生理が来なくなる、それが「閉経」
わずらわしく思いながらも妊娠のとき以外、ずっと付き合っている生理(月経)。なかには、ピルの服用やホルモン治療などで生理を止めている(結果的に止まっている)人もいると思いますが、多くの女性は毎月やってきます。
しかし、生理は生涯あるわけではありません。ある時期が来ると妊娠や出産に関わる女性ホルモン(エストロゲンなど)が低下し、その結果、生理が止まります。
これが「閉経」です。
WHO(世界保健機関)によると、閉経とは「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経停止」であり、日本産科婦人科学会の定義では、「卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態」が閉経で、「月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経」としています。
日本人の閉経の平均は49.47歳
この定義をみるとわかりますが、実際のところ、私たちは「初潮」のように、「閉経」の日をリアルに知ることはできません。振り返ってみて、「あぁ、あの辺りが閉経だったんだ」とわかる程度です。
だからなのか、閉経が近づいてくると、混乱する場面も出てきます。
生理が数カ月止まって「そろそろ閉経かも」と思ったら、その翌月に生理が来ることもありますし、生理かどうかわからない少しの出血があると、これが不正出血なのか、それとも生理なのかわからなかったりします(不正出血が続く場合は、必ず産婦人科で診てもらうようにしましょう)。
ちなみに、国内の報告をみると、閉経の平均は49.47歳で、これはいつの時代も変わらないようです。これは国外でも同じで、ほとんどの女性が45歳から10年の間に閉経を迎えるようです。
閉経以降は心臓病や脳卒中のリスクが上がる
また、閉経をはさんで前後5年間を更年期といいますが、閉経がいつかわからないわけですから、更年期もまた、いつ始まったか知ることはできません。
ただ、更年期の場合、この時期特有の症状が出ることがあるので、それで「更年期に入った」ことを実感するようです。見方を変えると、症状がない人は更年期を知らずに次の時期(老年期)に入ることになります。
いずれにしても気を付けたいのは、カラダの変化に対応したライフスタイルを送ることです。閉経や更年期というとどうしても「更年期症状(更年期障害)」というイメージが浮かぶと思いますが、じつはカラダに起こる変化はそれだけではありません。
例えば、閉経以降はこれまでコレステロールの量を抑えたり、動脈硬化や動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)を予防したりしていたエストロゲンの分泌が著しく減少します。
その結果、心臓病や脳卒中などの病気のリスクが高まります。男性と比べると、閉経前までは女性のほうが低く抑えられていましたが、閉経を機に、男性とほぼ同じになります。
閉経後は青魚と緑黄色野菜、定期的な運動を
ですから、閉経前と同じ生活習慣を続けるのはリスクで、やはり食事や運動で先に挙げた病気のリスクを減らしていく必要があります。
食事ではカロリーの取り過ぎに注意し、脂肪やコレステロールの量を控える必要があります。また、脂質やコレステロールの排出を促す食物繊維を多めに摂るようにします。
具体的な食べ物でいえば、イワシやサンマ、サバ、アジなどの青魚(多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれる)や、抗酸化作用がある緑黄色野菜の量を増やします。
運動は、2日に1回ぐらいが理想で、ウォーキングや体操などの有酸素運動がおすすめです。
閉経後はこのほかにも骨がもろくなる骨粗しょう症のリスクが高まります。外で運動すると、紫外線を浴びて骨の生成にかかわるビタミンDが作られるので、骨粗しょう症予防にもなります。
標準体重(BMIが18.5~25.0、150センチの人なら45~55kg)を維持しましょう。
厚生労働省が発表した令和3年簡易生命表によると、女性の平均寿命は87.57歳。閉経してからもまだまだ人生は続きます。また、その頃に現れてくるカラダやココロの不調改善には、漢方薬が有効なケースがあります。
参考までに、更年期症状の女性に用いられる代表的な漢方薬として、加味逍遙散(かみしょうようさん)や温経湯(うんけいとう)、五積散(ごしゃくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、温清飲(うんせいいん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが挙げられます。
持病なども増えてくる時期なので、他の薬との飲み合わせなどの問題もありますが、服用についてはかかりつけの医師や薬剤師と相談しながらですと安心です。
アクティブに楽しい毎日を送るためにも、健康には気をつけたいものです。
参考
「ウーマンズヘルス」(久米美代子/飯島浩之編著)
日本産科婦人科学会「更年期障害」
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内