漢方ビュー通信

舌と便の状態をチェック!体調や生活習慣との関係とは

自分の健康状態をみる時に、舌の状態をチェックすることはありますか?

じつは、漢方の世界では、体質や体調を診断するときに舌の状態をチェックすることがあり、体調や生活習慣の改善点を判断するのに役立ちます。
そして、便の状態も同様にチェックするポイントのひとつに挙げられます。

そこで今回は薬剤師である筆者が、舌や便の状態をみる重要性を解説します。

舌の状態で分かる健康状態

漢方医学でカラダの状態をみるときには、「舌診(ぜっしん)」といって舌の状態をみることがあります。ただし、私たちは普段、他人の舌をじっくりとみる機会がないため、どんな状態が良いのか悪いのかを比較判断することは難しいと思います。

舌の状態は日々の食事内容やストレス、アレルギーなどの炎症状態など、さまざまな要因により変化しています。舌磨きをすることもあるかもしれませんが、その前に舌を1日1回見る習慣をつけることをおすすめします。なぜなら、他人との比較は難しいですが、自分の状態の変化を見ることは簡単だからです。

例えば、白い舌苔(ぜったい:舌の表面にできる苔のようなもの)が増えたとしたら、糖質や脂質を摂り過ぎているのに食物繊維の量が少ないとき。舌がむくんでいるときは水分や塩分、アルコールの摂取の仕方などが水分代謝の低下を招いているとき。舌に歯型がくっきりついたときは疲れ気味だったり、舌の赤みが強ければどこかに肌荒れやアレルギーなどの炎症が起きていると、それぞれ予想することができます。

自分のカラダをこまめに把握することは、よりよい自分のカラダを作るために有意義なことです。ぜひ今日から舌のチェックをはじめてみましょう。

便の状態で分かる健康状態

舌と同様に便の状態も、直近の自分の生活の状態が反映されています。
便も他人とは比較できないため、日々自分の便を確認して、便の異変をわかるようにしておくことが大切です。

例えば、便がベトリとしていたり、黒かったり、ニオイが強烈な場合には、直近で偏食していて腸内で悪玉菌が優位になっていることが多いです。
そして、便がコロコロと硬くなっている場合には、水分摂取が不足していたり、食物繊維が不足していたり、食事の量が少なすぎたり、腹筋が低下していることなどが予想されます。
他にも、過度のストレスがあったり、冷えたりといったことも影響してきます。

毎日便の状態を把握しておくことで、日常生活の中で何が今日の便に影響していたのかを分析することができます。
理想の便は、ニオイが少なく、スルッと出てきて水に浮くようなもので、だいたいバナナ2本分くらいです。こういった便がキープできるように、生活習慣を整えていきましょう。

まずは胃腸を整えることが基本

舌苔の状態も便の状態も、食事内容や胃腸の状態に左右されます。
漢方医学では、古来より舌の状態や排泄物・分泌物など、可視化できるもので体調が判断されるケースが多いです。これは、間接的に、口にするものがココロやカラダに影響を与えることを暗示しています。そして、さまざまな不調が混在していた場合、まずは胃腸から先に整えていくことが重視されていました。

現代でも腸内環境は、免疫や脳、肝臓、皮膚などあらゆる臓器に影響するものとして重要視されていますが、この考えは漢方医学では古くから当たり前のように伝えられてきたことでもあります。
何か不調を感じた時には、舌や便の状態で自分のカラダや習慣を分析し、食事内容などで胃腸をいたわることを優先させていきましょう。
そして、それでもなかなか解消しない場合には、消化を助ける「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」や「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」、「安中散(あんちゅうさん)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」などの、胃腸のケアに役立つ漢方薬があるので、それらを活用してサポートしていきましょう。
もちろん、個々の体質や体調で処方される漢方薬は異なりますので、ご注意ください。

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ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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Sep 21 2022

薬剤師・大久保 愛

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