漢方ビュー通信

理想的な睡眠をとるために実践したいこと

理想的な睡眠をとるために実践したいこと

私たちが生きていくために欠かせない毎日の“睡眠”ですが、多少、睡眠の質が悪かった日があったとしても気にせずに過ごしている人も多いと思います。
ですが、睡眠はカラダの修復や脳の疲労回復などに働くため、その質が悪いと何かしらの影響が出てきてもおかしくありません。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、睡眠の質の重要性について解説します。

レム睡眠、ノンレム睡眠とは

眠りには、レム睡眠ノンレム睡眠の2種類があります。
入眠後、ノンレム睡眠から始まり、1時間ほど(70分~120分くらいと個人差あり)でレム睡眠へ移行します。
この2つの眠りが、一晩で4〜5回繰り返されて、合計7時間程度の睡眠時間になります。
レム睡眠は全身の筋肉が弛緩してカラダを休めている状態で、ノンレム睡眠は脳を休める睡眠とされています。

ちなみに、レム睡眠中は眼球がキョロキョロと動く、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)を伴う睡眠であることからREM(レム)睡眠と呼ばれています。一方、ノンレム睡眠中はREMがないのでノンレム(non-REM)睡眠と呼ばれています。

理想の睡眠は“時間”が重要なキー

理想の睡眠は“時間”が重要なキー

入眠後すぐに始まるノンレム睡眠は、眠りの深さを4段階(浅い眠り1〜深い眠り4)に分類されます。
そして、入眠後最初の3時間の間に、3〜4段階目の深い眠りの睡眠が集中して訪れます。この深い眠りの時に、心とカラダの疲労を取り除くために役立つ成長ホルモンの分泌が多くなります。
また、後半の睡眠では、記憶や感情を整理するレム睡眠の割合が増加します。
そのため、健やかなカラダをキープするには、トータルで7〜8時間程度の睡眠が理想的だと考えられているのです。

つまり睡眠は、入眠後3時間の睡眠の質を高めること、トータル7〜8時間の睡眠時間を確保することが重要なのです。

睡眠の質を向上するために

それでは、理想的な睡眠を確保するにはどのような方法があるのでしょうか。
さまざまな方法がありますが、理想の睡眠に自信がない人は、次に挙げるようなことを試してみてください。

・カラダに“朝”を知らせるために、寝起きに太陽の光を浴びるようにする
・カラダを内側から目覚めさせるために、朝食に消化器官を動かしほどよく血糖値を上昇させる野菜や海藻類、発酵食品を摂るようにする
・睡眠に必要な栄養素であるタンパク質を多めに摂るようにする
・血流を促す生活を送るように心がける(水分をしっかり摂る、適度な運動、入浴の習慣をつけるなど)
・22時以降の食事はなるべく控える
・夕食は、カロリーや糖質、ボリュームを少なめにする
・夕食のメニューには、睡眠の質を高めるアミノ酸(L-セリンやグリシンなど)を含む、魚介類や豆類を積極的に摂るようにする
・寝る前のスマホやパソコンなどの使用は控えるようにする
・お腹と足首は温めて寝るようにする

いかがでしたか?
意識すれば、すぐに実践できるようなことばかりなので、心がけてみましょう。

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

また、ストレスや貧血などが原因で、睡眠の質が低下してきた時には漢方薬が助けになってくれる場合もあります。
処方にはいくつかの選択肢がありますが、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」や「抑肝散(よくかんさん)」などが用いられることがあります。生活習慣の見直しだけで改善できないようなら、一度漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるのもよいでしょう。

日常のパフォーマンスに大きく影響する睡眠の質を、一日一日大切にとらえて、活動的な毎日を維持していきましょうね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Nov 11 2022

薬剤師・大久保 愛

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