漢方ビュー通信

寒い時期の運動不足と過食にはズバリ〇〇〇!

朝晩の冷え込みが厳しくなり、まさしく冬の到来を肌で感じるようになってきたこの頃──。
なぜか脂肪分や糖質の高い食事に魅力を感じ、偏食気味になってしまった経験はありませんか?
さらに、寒さが厳しくなることで、ますますカラダを動かす機会や太陽を浴びる時間が減少し、心理状態にまで影響が出てしまうことも…。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、寒い冬のカラダとココロの関係について解説します。

“冬”がカラダとココロに影響を及ぼすこと

では、冬の時期の特徴とカラダとココロの関係をみていきましょう。

日照時間が短い

冬は日照時間が短いので、人によっては日が昇る前に出勤して、日が沈んでから帰宅するといった生活パターンになってしまい、太陽の光をほとんど浴びなくなってしまうことも。
その結果、太陽の光を浴びることによって作られる免疫や腸壁、骨などを強くするビタミンDやメンタルの安定や睡眠の質に関わるセロトニンの生成に影響してしまいます。
意識的に日光浴を行うか、適切な食生活で栄養素を補う必要があるでしょう。

運動不足

冒頭でも述べたように、気温低下に伴い、温かい時期と比べカラダを動かす機会が減少してしまいがちです。
すると、筋力や代謝、血流などが低下してしまい、カラダが冷えやすく、疲れやすく、太りやすくなってしまいます。いつも以上に、ちょっとした運動から適度な運動まで意識して行うように心がけましょう。

食事バランスの偏り

年末から年始にかけてはイベント事が多く、どうしても食事バランスが偏ってしまいがちです。
例えば、食べ過ぎ飲み過ぎの状態が続くと、カラダの細胞ひとつひとつを元気な状態に保つ機能「オートファジー」がうまく働かず、病気とはいえない小さな不調を感じるようになります。ちょっとしたダルさ、やる気を感じない、肌の調子が悪くなるような状況に陥ることもあるので、適宜バランスの取れた食事も取り入れるように心がけましょう。

空気の乾燥

運動不足や偏食によって代謝が低下している場合、冷えを強く感じやすくなります。
さらに、空気の乾燥によって鼻や喉の粘膜が乾燥し、バリア機能が低下することで感染症にかかるリスクが増えます。
適度な運動やバランスの取れた食事に加えて、定期的な水分摂取加湿も心がけるようにしましょう。

食欲が抑えられないときの対策

よく耳にする冬の悩みのひとつに、“抑えられなくなる食欲”があります。
寒さのせいで運動量が減るうえ、食欲は増すばかりなので、どうしても体重が増加気味に…。

そんな方の対策に、口さみしくなったときにおすすめの食材、「高カカオチョコレート」を紹介します。
基本的にカカオが70%以上含まれるものを高カカオといいますが、カカオにはメンタルの安定に役立つテオブロミンや腸内環境を整えるカカオプロテインやリグニン、抗酸化作用の高いカカオポリフェノールなどが含まれているので、食欲も抑えつつ、気持ちの面でも落ち着かせてくれるので最適です。

さらに、それに加えて漢方薬でサポートしてあげることもおすすめ。

漢方薬

冬に不足しがちな「気・血(き・けつ)」※を補うことも、異常な食欲を抑えるためには役立ちます。また、交感神経が優位で神経過敏になっているときに食欲は増進しやすくなりますが、その対策として感情を鎮静する漢方薬も複数あります。
例えば、「抑肝散(よくかんさん)」や「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などがありますので、気になる人は、体調管理を兼ねて、一度漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して、自分に合った漢方薬を処方してもらうとよいでしょう。

※漢方の考え方で、不調の原因を探るためのものさし。「気」は目に見えない生命エネルギーのこと。「血(けつ)」は主に血液をさし、全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与える。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Nov 16 2022

薬剤師・大久保 愛

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