今から準備しておきたい“冬支度”
“冬”の特徴といえば…寒さ、雪、乾燥、そして日照時間が短いことなどが挙げられます。
中でも、日照時間については、他の季節と比べて太陽が出ている時間が短いため、冬に対してなおさら暗いイメージを抱かせるのではないでしょうか。
この本格的な冬に入る前に、寒さや乾燥について対策を取る人はたくさんいるでしょうが、“冬の暗さ”について対策を取っている人は少ないと思います。意外かもしれませんが、冬の暗さ対策をしておくことで、冬を健康的に乗り切れることがあります。
また、それ以外にも来たるべき冬に備えて、心構えをしておくことがいくつかあります。
今回は、薬剤師である筆者が、今から準備しておきたい冬支度について解説します。
太陽がココロとカラダに与える影響
太陽の光には、さまざまな効果があるといわれていますが、その一例を紹介します。
- ココロを安定させる
- 睡眠の質に関わる神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促す
- 骨や歯を強くする
- 免疫を強化するために必要なビタミンD3の生成に関係する
これらの効果は、すぐにカラダに現れるわけではないので気にかけている人は少ないと思いますが、日が短くなってくると、気分の落ち込みや寝付きの悪さ、足腰が弱くなる、風邪を引きやすくなるなどの不調を訴える人が増加してくるように感じます。
意識的に太陽に当たる時間を増やすなど、日光浴を行う習慣を心がけるようにしましょう。
ココロの不調を感じる時には朝日を浴びる習慣を
自然な眠りを誘うホルモンとして、脳から分泌される「睡眠ホルモン(メラトニン)」があります。
朝、太陽の光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、その約14~16時間後に睡眠に必要なメラトニンの分泌が高まります。
つまり、朝日をしっかり浴びることは、体内リズムの調整とぐっすり眠るために必要なことなのです。
さらに、セロトニンには、神経伝達物質であるドーパミンやアドレナリンをコントロールし、感情を安定させる働きもあります。
気分が落ち込む時やイライラしやすい時、悩みやすい時など、ココロの不調を感じる時には、積極的に朝日を浴びるように習慣づけていきましょう。
冬の時期でも適度な運動を心がけましょう
冬の時期は、気温が低く、日が暮れる時間も早いため、自然と運動量が低下してしまいます。
運動不足になると、骨を作るために働く骨芽細胞の数を減らすスクレロスチンという物質が増え、骨が弱くなってしまいます。
前述したように、太陽の光を浴びることで、骨の強化に役立つビタミンD3の生成やカルシウムの吸収を促してくれるので、無理のない範囲で日中に散歩などをしてみましょう。
また、ビタミンDには、免疫機能を調整する働きもあるため、毎年寒い季節に感染症になったり、体調が思わしくない人は特に気を付けるようにしましょう。
冬支度は漢方薬でサポート
冬に備える、という点では漢方薬もおすすめです。
例えば、寒い時期に実践している人も多い「温活」──、日頃からカラダを温めておく習慣ですが、じつは漢方が得意とするところでもあります。
漢方薬の中には、手足やお腹、腰回りの冷えの改善はもちろん、バリア機能を高めたり、自律神経を整えるものもありますので、自分の悩んでいる症状に合わせて服用するようにしましょう。その際は、漢方に詳しい医師に相談しながら処方してもらうと安心です。
気温が下がってきて太陽に当たる時間や機会がどうしても少なくなってくると、病名のつかない症状、いわゆる未病が増えていく傾向があります。
漢方はこういった未病の対策や改善を得意としているので、毎年寒い時期を苦手とする人は漢方薬を上手に活用してみるとよいかもしれません。
また、冬を乗り切るために、太陽の光を浴びる、睡眠時間をたっぷり取れるようにする、適度な運動を心がけるといったことも意識して過ごすようにしましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic
薬剤師・大久保 愛