カラダが冷えやすい人は、疲れやすい?
あなたは寒がり?それとも暑がり?
冬でも半袖や薄着で過ごすような“元気はつらつ”な人もいれば、周りの人が適温と感じている中で自分だけが寒さを強く感じてしまうような人もいますよね。
さて、漢方の考え方には、健康を維持するものさしとして「気・血・水(き・けつ・すい)」があります。
中でも、「気」はカラダを温め、元気に過ごすために必要な要素です。
例えば、人よりも寒がりで、手先・足先が冷え切っているような人は、元気がなく疲れやすい、そして体力が少ないとされています。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、カラダを温めたり、カラダを動かすためのエネルギーとなる「気」について解説します。
漢方医学で考える「気」とは
「気」とは、目に見えない生命エネルギーのことを指し、元気ややる気、根気といった言葉にも含まれています。
「気」の働きは大きく分けて、推動(すいどう)作用・温煦(おんく)作用・防御作用・固摂(こせつ)作用・気化作用の5つに分類されます。
具体的には、それぞれ体液を全身に巡らせる、カラダを温める、免疫の働きをする、出血のコントロールを行う、代謝の機能に関わるものと考えられています。
また、「気」は食べ物の影響を受けやすいため、食事のバランスが悪かったり、それを吸収・消化する胃腸の働きが悪かったりすると、不足してしまいます。
「気」の働きのバランスが崩れると…
では、なぜカラダが冷えやすい人は、体力がなく疲れやすいのでしょうか。
先述した、「気」の5つの働きはそれぞれバランスを保っています。
例えば、カラダを温める力である「温煦」の働きが足りていないとき、その他の4つの働きにも連動して支障が生じやすくなります。
そのため、冷えを感じている人は免疫機能が低下したり(「防御作用」の低下)、アザなどが治りにくくなったり(「固摂作用」の低下)、代謝が悪くなったり(「気化作用」の低下)するのです。
「気」の働きのひとつが不足する──つまり、カラダが冷えやすくなっているということは、疲れやすく、またカラダのさまざまな箇所に影響が出やすくなっている状態といえます。
「気」を補うためにできること
それでは、不足した「気」を補う方法について解説します。
まずは、先ほども少し触れましたが、食事内容の見直しと消化器に関する負担を軽減することです。そして、お腹を冷やさない、臓器が下垂しないように腹筋を適度に鍛える、エネルギーを温存するために良質な睡眠をとるということからはじめてみましょう。
しかし、一見どれも簡単なように思えますが、忙しい毎日の中では、これらのことを継続していくのは難しいものです。
そこで、助けになってくれるのが漢方薬です。
「気」を補ってくれる漢方薬として代表的なものに、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」があります。その他にも、その時の体調やそれぞれの体質に合わせて「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」、「六君子湯(りっくんしとう)」、「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」など、さまざまな種類があります。
いつまでも冷えの症状を改善せずに諦めてしまっては、「気」の不足に付随する症状も徐々に増えていってしまいます。冷え症かな…、最近疲れやすくなってきたな…、アザが治りにくくなってきたな…など、何かしらの不調を感じたら、「気」が不足している状態かもしれません。
「気」を補って、快適な生活を送れるようにするために、そのまま放置せず、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛