漢方ビュー通信

虚証の典型症状「疲れやすさ」のケアと対策

 虚証の典型症状「疲れやすさ」のケアと対策

虚弱な体質で体力が無いと疲れが生じやすい

前回の漢方ビュー通信『「実証」と「虚証」を知って健康管理に役立てよう』でも紹介しましたが、「虚証(きょしょう:体力がなくて、弱々しい。細くて華奢(きゃしゃ)、顔色が悪くて、肌が荒れやすい。細くて、小さな声。胃腸が弱くて、下痢をしやすい。寒がり)」の典型的な症状が、“疲れやすさ”です。

虚証とは、いわゆる虚弱な状態で、体力や気力、抵抗力が低下している状態を指します。
そのため、体力や気力が十分でないことで疲れやすさが生じやすいと考えられています。
そこで今回は、この疲れやすさについて考えてみたいと思います。

疲れは「カラダのエネルギー不足」で生じる

そもそも疲れとは、カラダが重い、だるいなどの全身症状のほか、やる気が起きない、集中力がないといった精神面での症状を呈する状態を指します。
その背景にあるのは、カラダのエネルギー不足です(病気で生じる疲労を除く)。

漢方には、「気・血・水(き・けつ・すい)」という不調の状態を測るものさしがありますが、生命エネルギーである「気」が低下している「気虚(ききょ)」や、血液やその機能をつかさどる血が低下している「血虚(けっきょ)」があると、疲れやすくなります。
このような場合、不摂生な生活や過労などが原因とわかっていれば、当然ながらそれらの改善を図るのが第一です。

精神の疲労はリラックス&リフレッシュで回復

精神の疲労はリラックス&リフレッシュで回復

しかしながら、虚証の人はエネルギーを作り出すしくみが弱いとされています。機能が低下しているところに、エネルギー源だけ与えてもエネルギーは生み出されません。
したがって、まずは「虚」の部分を補う必要があります。

そのためには気力や体力を回復させることが大事で、そのためには自分の体力のペースに合わせた生活が必要になります。
肉体の疲労は、睡眠や休息をとることで回復させましょう。
また、精神的な疲労は、入浴などでリラックスタイムを作る、好きな音楽や香りで気持ちをリフレッシュさせる、といったことをしていくといいかもしれません。

漢方では「補剤」が使われることが多い

漢方薬

こうした虚証で虚弱体質な人の疲労には、漢方薬が有用なことがあります。
疲れがあるときに、よく用いられるのがカラダのエネルギーを補う役割をする「補剤」というタイプの漢方薬です。代表的なものが、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、そして「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」です。
なかでも、補中益気湯は“中(おなかの意味)を補う”漢方薬で、消化吸収をよくして栄養状態を改善し、体力や気力、免疫力を高める働きがあります。

今回は虚証で起こりがちな、疲れやすさについて解説しましたが、日常生活に支障が生じるほどの疲れを感じる場合は、何かしらの病気によって疲れが出ている場合もあります。
気になる人は、一度、医療機関で診てもらうようにしましょう。

参考

『総合診療』Vol.28 No.12 私のイチオシ処方

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jun 3 2022

医療ライター・山内

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