まだまだ先だと思っても…20代から取り掛かるべき更年期対策
女性は、平均的に約50歳で閉経を迎えますが、その前後5年くらいの計10年程度の期間を「更年期」とよびます。すなわち45歳から55歳くらいが該当します。
更年期に差し掛かっても、ほぼ症状を感じない人もいるようですが、8割以上の人が複数の不調に悩まされ、つらい思いをするといわれています。
このように、更年期に日常生活を送ることに支障を感じている状態を「更年期障害」といいます。
この世代は仕事をもっていたり、子どもや介護の問題を抱えていたりすることも多く、非常に多忙です。
そんな中、タイミング悪く更年期障害と忙しさが重なり、心とカラダが環境についていかず、悔しい思いをすることも…。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、更年期とその対策について解説します。
女性のカラダの変化は年齢の7の倍数がポイント
漢方医学では、女性のカラダは7の倍数の年齢、男性は8の倍数でカラダに変化が現われるといわれています。
例えば、女性の場合、7の倍数である14歳に初潮をむかえ、28歳で女性のカラダとしてのピークを迎え、そこから緩やかに衰えはじめ、49歳くらいに閉経するといった具合です。
冒頭でもお伝えしたように、個人差はありますが、実際に50歳あたりで閉経する人は多く、その前後5年の約10年間を更年期としています
カラダの機能としては、卵巣の形態や機能に変化が生じ、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌が減っている状態です。
エストロゲンは脳からの指令によって卵巣より分泌されますが、エストロゲンの分泌が低下していると、脳はさらに指令を出して分泌を促します。そうなると、他のホルモンのバランスや自律神経なども乱れ、イライラやのぼせなどの更年期特有の症状が次々と出てくることが考えられます。
28歳からは、未来のカラダのために養生生活を
ここで、日々の生活を思い返してみましょう。
最近、寝る時間が不規則だったり、忙しくてインスタント食品を頻繁に食べていたり、運動する習慣がなかったりしないでしょうか?
若い頃は、このような生活習慣でもそこまで影響はなかったかもしれませんが、40代以降の“不安定なカラダ”には大きなダメージを与えかねません。また、更年期の時期は多くの人が、子供の受験や就職、親の介護、仕事で管理職に昇進するなど複数のイベントを抱え多忙になっていることも考えられ、これらの環境が体調不良を助長する材料にもなってしまいます。
また、先ほど説明したように、女性のカラダは28歳をピークとしているため、28歳以降の生活はこれからの人生に大きな影響を与えます。
そうとなれば、未来のカラダのために、すぐにでも養生生活を始めることが大事だということが分かると思います。
更年期の悩みに助けになってくれる漢方薬
日本女性の更年期の症状として、肩こりや疲れ、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗、不眠、イライラなどが挙げられています。
こういった多岐にわたる不調は、加齢に伴うエストロゲンの欠乏だけではなく、ストレスや環境要因、生活習慣なども大きく影響するものです。
そのため、生活リズムや食事内容の見直しも重要なポイントですが、それでも手に負えない場合は漢方薬に頼ることがおすすめです。
漢方薬のよいところは、複数の症状に対して効果が現れることです。
よく用いられるのが、イライラや肩こりがある人に「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、神経過敏になって、動悸や不眠を感じるときに使われる「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」、貧血気味で疲れやすく不安感を感じやすいときに使われる「加味帰脾湯(かみきひとう)」、冷えやのぼせ、肩こり、頭重が気になるときに使う「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」など、たくさんの漢方薬があります。
更年期の不調は、周囲の理解を得られにくいものです。一人で悩まずに、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、少しでも過ごしやすい毎日を作っていきましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛