健康は食事から。うつ病を防ぐ食べものとは?
うつっぽい気分になる人・ならない人
漢方の考え方の基本に、「医食同源」というものがあります。
これは、「病気の治療も食事も、共に生命を養い健康を保つためには欠かせないもので、源は同じだという考え」(健康長寿ネットの説明を一部改変)のこと。自分の体調を整える食べものは、病気予防にもつながるということです。
そこで今回は、うつ予防と食べものの関係について見ていこうと思います。
毎日が憂うつ、楽しくない、ご飯がおいしくない…。そんな気持ちを抱えることは、多かれ少なかれ誰にでもあることではないでしょうか。
こうした、ものごとへの興味や喜びがあまり感じられなくなる状態を、一般的に「うつ」と呼んでいて、そのきっかけとしては、大切な人やモノ(物事、財産、健康など)を失うことや、ストレス(人間関係のトラブル、仕事や家事での負担)などが挙げられます。
健康的な生活習慣がうつを予防する
そもそも、ものごとに対する感じ方には個人差があり、性格的なもの、体質的なもの、年齢的なものも影響します。
こうしたものの多くはすぐには変えられない(抗えない)のですが、一方で、最近では変えられるもの、つまり生活習慣との関係が注目され、研究も進んでいるのです。
実際、うつ病予防に有効な生活習慣のひとつとして、“食との関係”が出てきています。
たとえば、予防とは真逆にはなりますが「うつ病のリスクを高める」食に関しては、カロリー過多な食事、ジャンクフード、甘味料が多く含まれた清涼飲料水などがありますし、肥満とうつ病はお互いに関係している(肥満はうつ病のリスクを高め、うつ病は肥満のリスクを高める)ことも報告されています。
魚を食べている群はうつ病の罹患率が低い
では、うつのリスクを下げる食べものとはどのようなものでしょうか。
本稿で紹介したい食は、ずばり「魚」です。
海外で行われた研究では、魚を食べている群は食べていない群に比べて、うつ病の罹患率が低かったという結果が報告されています。
なぜ魚がいいのかまだ完全に解明されてはいないものの、魚に含まれる、EPA(エイコサペンタエン酸)」や、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」などのn‐3系多価不飽和脂肪酸が、脳の神経伝達物質に関わっているのではないかといわれています。
いずれにせよ、四方を海で囲まれた日本では、むかしからよく魚が食べられていましたが、最近では「骨が嫌い」「調理がめんどうくさい」「くさい」などの理由からでしょうか、摂取量が減り、2006年にはついに摂取量が肉に抜かれました(厚生労働省「国民栄養調査」、「国民健康・栄養調査報告」より)。
もう少し意識して魚を食べるように心がけたいところです。
それでもつらいときは…専門家に相談を
うつを予防すると言われている食事・食べものは、まだ他にもたくさんあります(これからも少しずつ紹介していきます)。
ただ、こうした食の予防だけでは防げないときもあります。うつっぽい状況が続いたり、不安になったりと、気になり出した場合は、専門家に相談することをお勧めします。
会社勤めの人であれば社内にいる産業医に。学生や、自営業など会社勤めをしていない人であれば、地域の保健所や保健センター、都道府県・指定都市に設置されている精神保健福祉センターで対応してくれます。また、医療機関の情報提供なども行っています。
うつ病になった後では、なかなか行動に移せないものです。少しでも不安を感じるようであれば、まず、食事面の見直しや周辺環境の確認を行なっておくとよいでしょう。
参照
健康長寿ネット 医食同源とは
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/ishoku-dogen.html
厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
『こころに効く精神栄養学』(功刀浩著・女子栄養大学出版部)
『医学の歩み』Vol.284 No.1 疾病発症予防に関わる栄養・食生活
農林水産省
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h20/pdf/h_1_2_1.pdf
厚生労働省 こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/index.html
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内