要介護にはならないように!いつまでも若々しく過ごしましょう
年齢とともに感じる筋力の低下や、ストレスからの回復力の低下、骨や関節神経などの運動器の低下などに関して、高齢化に伴い要介護の大きな要因となる3つの疾患概念があります。
サルコペニア、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、フレイル──どこかで耳にしたことがあるかもしれません。これらは、いくつになっても自立して好きなことをしていたいと考える人には重要なワードです。
もちろん、早い段階から対策を取ることは大事ですが、注意したいのは加齢だけが原因ではないということ。栄養状態や運動量などによっても、影響を受けてしまうことを忘れてはいけません。
また、栄養状態が悪く、身体機能が低下した状態が続くと、元気になるきっかけをつくることが難しくなってしまい、“負のスパイラル”に入ってしまいます。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、いつまでも元気に過ごすためにサルコペニア、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、フレイルについて解説します。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少、筋力の低下のこと。
歩いたり、立ち上がったり、座ったりする日常の動作に支障が生じたり、転倒しやすくなったりします。例えば、歩くのが遅くなった、階段を上るときに手すりが必要になった、ペットボトルがあけられなくなった…などを感じるようになった人は注意が必要です。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、立ったり、歩いたりする移動のための身体能力が低下している状態で、進行すると介護リスクが高くなる状態のこと。
サルコペニアとの違いは、筋肉だけでなくすべての運動器の障害を指しています。
自分で好きなところに移動し、活動できることは生きていく上で活力となります。腰、ひざ関節の痛み、筋力、バランスをとる能力の低下などを感じたら、早めに対策をとっていくことが大切です。
フレイルとは
フレイルとは、加齢に伴い、筋肉をはじめとして心身の活力が低下し、健康と介護が必要な状態の間くらいに位置する虚弱な状態を意味します。
体重減少、疲れやすい、活動量の低下、歩行速度の低下、握力の低下などを感じている人は注意です。高齢者のフレイルは、生活の質を大きく落とし、本人も周りもつらい思いをします。
ただし、日ごろの生活習慣によっては、健常な状態に戻る可能性もあるので、フレイルの予防は大切です。
いつまでも若々しく過ごすためにできること
介護が必要となる一歩前の段階に現れるのが、今回取り上げているサルコペニア、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、フレイルといった疾患概念。
共通する有効な予防法としては、運動、食事、社会参加の3つとされています。
例えば、毎日の歯磨きや家事の合間にスクワットをしたり、片足立ちをしたりなど、適度な運動を組み込みつつ、食事面ではタンパク質の摂取を意識し、趣味や旅行などアクティブに活動するというシンプルなことが予防になるといえます。
未来の自分のために、今できることは何なのか一度考えてみましょう。
また、やる気がない、疲れやすい、食欲がないなど、行動に移す以前の問題があるときには、漢方薬でサポートしてみることもよいでしょう。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、六君子湯(りっくんしとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などアクティブに行動するために役立つ漢方薬はたくさんあります。もちろんこれらは個々の症状や体質によって処方が異なりますので、自己判断せずに、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談したりなどして、総合的に対策をとっていきましょう。
いつまでも若々しく元気で過ごすためには努力が必要です。早いうちから体調管理を始めて、日々の生活も見直してみましょう。
『漢方ビュー』の姉妹サイト『フレイルを知って健康長寿』でも詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛