食生活の変化が原因か!?膵臓の病気に注意しよう
近年、膵臓(すいぞう)に関する病気が増えてきています。例えば、急性膵炎だけでも20年前の約4倍にも増加しているといわれています。これは、ファストフードや油物など、食の欧米化が進んだり、お酒を飲んだりする機会が増えていることなどが原因だと考えられています。
膵臓は、消化液やホルモンをつくり分泌しているため、膵臓に異常を感じるときには、さまざまな症状を引き起こすことになります。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、膵臓の働きと膵臓にまつわる疾患について解説します。
膵臓の働きとは
さて、膵臓がカラダのどの位置にあって、どのような機能を持っているか──、理解している人はどれくらいでしょうか。詳しくみていきましょう。
膵臓は内臓器官の中でも特に重要な働きを担っており、食べ物の消化に必要な消化液を分泌したり、血糖を調整するインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌しています。
位置的にはみぞおちの下ぐらい、胃の裏側に横たわるように存在していて、長さ15cm、幅3cm、厚み2cmくらいの大きさで、黄色くてトウモロコシのような色形をしています。そして、重さ120g程度の小さな臓器です。
膵臓が分泌する膵液という消化液は、オールマイティーな消化液とも呼ばれ、三大栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂質の分解ができる消化酵素を含んでいます。
食べ物は消化吸収されるとき、胃から十二指腸、小腸、大腸へと進んでいきますが、胃の中は強力な酸性となっています。そして、消化が進むと十二指腸へ向かいますが、膵液が弱アルカリ性のため、そこで食べ物は中和されます。小腸も弱アルカリ性の環境で消化を行うため、膵液による中和は非常に大切なのです。
このように、膵臓は食べ物を消化するにあたり、重要な働きを担っています。ですから、近年の食文化の大きな変化は、膵臓に負担をかけ、そのせいで疾患を抱える人が増えてきていると考えられています。
発症例の多い急性膵炎について
膵臓の病気で多くみられるのが左上腹部の痛みを催す、急性膵炎です。慢性膵炎では鈍い痛みを感じることが多いとされています。
お酒や油物を摂りすぎると、数時間後に左上腹部から背中や腰にまで痛みが広がることもあり、手で押すとさらに痛みが強くなる特徴があります。
急性膵炎では、本来消化してはならない膵臓や膵菅を、自ら消化してしまう“自己消化”の状態が起こります。また、何らかの原因で、膵液が異常量分泌され、十二指腸に送り込まれない状態になっているといわれています。 膵炎は、特に中高年の男性が圧倒的に発症しやすく、患者数も増えており、命に関わることもある病気として知られています。
膵臓のためにできること
膵臓の健康のためにできる基本的なこととして、よく噛んで食べる、油物を極力控える、食事量を抑える(大量に摂らない)、規則正しいリズムで食べる、バランスよく食べる、禁酒や節酒などがあります。
これらの“食”に関するルールを守りつつ、適度な運動(なるべく歩く、階段を使うなど)でカラダを動かすように心がけましょう。
また、漢方薬の中には、膵臓にまつわる不快症状の緩和や消化のサポートになるものもあります。
生活習慣の見直しとともに、生活の質(QOL)を向上するためにも、漢方薬が有用な場合もあります。気になる人や何らかの対策を考えている人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛