震災関連死で気を付けたい健康問題と対策
深刻な問題になっている震災関連死
2024年1月1日に能登地方を震度7の地震が襲いました。
震災では、がれきの倒壊や火事などによって亡くなるだけでなく、震災後にさまざまな健康問題が生じて亡くなる「震災(災害)関連死」が深刻な問題になっています。
2011年に発生した東日本大震災では、3,800人あまりが震災関連死と認定されています。(令和5年3月31日まで。復興庁より)
また、熊本地震では、370人あまりが震災関連死とされていて、以下のような事例を紹介しています。挙げている例のなかには30代、40代のケースもあり、年齢にかかわらず注意が必要なことを示しています。
・避難中の車内、疲労による心疾患で死亡
・慣れない避難所生活から肺炎状態となり、入院先の病院で死亡
・地震による疲労が原因と思われる交通事故による死亡
・エコノミー症候群の疑いで死亡
・地震による栄養障害及び持病の悪化等により死亡
・地震のショック及び余震への恐怖が原因で、急性心筋梗塞により死亡と推定
→内閣府「災害関連死について」より
https://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/pdf/r01kaigi/siryo8.pdf
注意すべき病気①エコノミークラス症候群
震災関連死で気を付けたい病気のひとつが、エコノミークラス症候群です。
長時間、同じ姿勢を取り続けることで足の静脈に血栓ができる状態をいい、剥がれた血栓が血流にのって肺の血管を詰まらせる“肺塞栓症”を起こすと、命にもかかわります。
震災では、継続的に現地を襲う揺れに対する不安や、ペットと一緒に避難したいといった理由から、車中で過ごす避難者も少なくありません。
狭い車内では同じ姿勢を取らざるをえないため、エコノミークラス症候群が生じやすい環境にあるといわれています。
厚労省はエコノミークラス症候群予防のために、以下の6つを推奨しています。
1.ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
2.十分にこまめに水分を取る
3.アルコールを控える。できれば禁煙する
4.ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
5.かかとの上げ下ろし運動をしたり、ふくらはぎをもんだりする
6.眠るときは足を上げる
→厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07384.html
注意すべき病気②誤嚥性肺炎
そしてもうひとつは、誤嚥性肺炎です。
断水や避難所での生活では、口の中をきれいに保つことがむずかしい状態になりがちです。また、水分を控えるなどによって脱水も起こりやすくなります。
その結果、口の中の細菌が肺のほうに入って誤嚥性肺炎を起こすリスクが高まります。
実際、内閣府の防災情報のページには、「義歯ケースを持ち出すことができず、ずっと装着し続け口の中が不衛生になり、誤嚥性肺炎で亡くなった方もいた」とのことです。
水がなかったり、歯ブラシがなかったりと、避難先で口の中を清潔に保つのはなかなか難しいですが、以下のようなことを行うとよいとされています。
・食後に少量の水やお茶でうがいをする
・ハンカチやティッシュで歯の汚れをとる
・耳の下、ほお、あごの下を手でもんだり、温めたりして唾液を出しやすくする
(唾液には口の中をきれいにする働きがあるため)
・液体ハミガキ、洗口液、うがい薬があれば、水の代わりに使う
→厚生労働省「災害時のお口(くち)のお手入れについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/0000123373.pdf
震災はある日突然、襲ってきます。
震災関連死のリスクを少しでも低くするためにも、こうした知識を頭に入れておくことが大切です。
参照
復興庁
https://www.reconstruction.go.jp/
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