漢方ビュー通信

「ストレスで眠れない…」その理由と対処法を紹介

ストレスが大きいほど眠りに影響が出る

緊張すると眠れない、不安なことがあると寝付けない、夜中に目が覚めてネガティブなことを考え出すと眠れなくなる…。ココロの状態を表すバロメーターでもある“睡眠”ですが、ストレスや不安が大きいほど、眠りに影響を及ぼします。

たとえば、特に強いストレスを感じるような出来事に遭うと、数日から数週間程度、一時的な不眠が続きますし、そうしたストレスが続くほど、慢性的な不眠になりがちです。 困ったことに、眠れない(途中で起きてしまう)こと自体がストレスや恐怖となることもあり、眠ろうとすればするほどかえって不眠がひどくなるともいわれています。 また、「悪夢を頻繁に見るため、怖くて眠れない」と不眠が悪化する人もいるようです。 悪夢によって睡眠障害が起こるものを「悪夢障害」と呼びます。もともとは子どもに見られるものですが、大人でも心的外傷後ストレス障害(PTSD)うつ病に合併して起こることもあります。

不眠(睡眠障害)のパターンは大きく3つ

不眠(睡眠障害)には大きく、床に入ってもなかなか眠ることができない「入眠困難」、夜中に何度も目を覚ましてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めて、その後寝付けなくなる「早朝覚醒」の3つのパターンがあります。 このほかにも、眠りが浅いためにぐっすり寝た気がしない「熟眠困難」が含まれることもあります。

一般的に、男性より女性の方が不眠を訴えることが多いとのこと。 では、なぜストレスがかかると眠れなくなるのでしょうか。それを解くカギは“自律神経”にありました。

ストレス不眠の理由は「交感神経」にあった

自律神経には、身体が活動モードになるときに優位になる交感神経と、リラックスモードになるときに優位になる副交感神経があります。 両者はシーソーのようにバランスを取っていて、通常、日中は交感神経が優位になり、夜にかけて徐々に副交感神経が優位になっていきます。

ところが、過度にストレスがかかったり、ストレスが持続したりすると、交感神経が有意な状態が続いてしまいます。 見方を変えると、ストレスに対応するために交感神経を優位にさせているともいえますが、しかしその結果、眠る時間になっても活動モードが続き、眠れなくなってしまうのです。 また、仮に眠れることができても、浅い眠りが多く深い眠りが十分でないことが多いため、夜中に何度も目が覚める中途覚醒や、寝た気がしないという熟眠困難という状態になりやすいのです。

ストレス不眠には「柴胡」が入った漢方薬が有効

漢方入門!漢方薬の名前に隠された秘密を解説

昼間の眠気に繋がったり、集中力が低下したりと、日々の生活や仕事に支障が出ることもある不眠。解消するには、生活リズムを整えることが大事ですが、ストレスや不安の根本が解決されなければ、やはり睡眠の質は下がったままです。

この場合、薬を使って眠れるようにする手段もありますが、睡眠薬(睡眠導入剤)に頼るのも不安、という人もいるでしょう。 そんなときに、候補となるのが漢方薬です。なかでも、生薬のひとつ「柴胡(さいこ)」は精神的なストレスに有効と考えられていて、これが含まれる漢方薬がよく用いられています。 柴胡剤(柴胡が含まれている漢方薬)には、「大柴胡湯(だいさいことう)」、「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」などがあります。 このほかにも、不眠に使われている漢方薬がありますので、ストレス不眠に悩んでいる人は、一度、医師や薬剤師に相談してもいいかもしれません。

参照

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「こころの情報サイト」
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=XpsDJBKfyaGD0mIx

厚生労働省 働く女性のこころと体の応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/column-7.html

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Feb 21 2024

医療ライター・山内

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