漢方ビュー通信

更年期前後で起こる心臓病「微小血管狭心症」とは

更年期前後の女性にも起こる狭心症

全身に血液を送るためのポンプ機能を持つ心臓。
この心臓に酸素や栄養を供給するための血管(冠動脈)が、何らかの理由で血液を送れなくなり、痛みや胸苦しさなどの症状を引き起こすのが、「狭心症」という病気です。

狭心症というと、高血圧や脂質異常(高脂血症)、糖尿病、肥満、喫煙などのリスク因子がある、40代以上の男性に多いとされる病気ですが、じつは更年期前後の女性にも起こりやすい狭心症もあります。それが「微小血管狭心症」です。

発症のピークは40代後半から50代前半

微小血管狭心症は、心臓を取り囲むように走っている冠動脈という血管のうち、髪の毛ぐらい細い血管が、収縮、あるいは拡張できず、一時的に血液が流れなくなることで起こる狭心症です。
日本心臓財団によると、発症する年代は30代半ばから60代半ばで、女性が70%を占めます。発症のピークは40代後半から50代前半です。

更年期のタイミングで起こるため、女性ホルモンのエストロゲンの関与が指摘されているほか、喫煙や精神的なストレス、寒さなどもリスク因子とされています。
症状は、胸部圧迫感のほか、呼吸困難や吐き気、胃痛、背中や腰痛、奥歯や顎の痛み、動悸など、人によってさまざま。カラダを動かしたときだけでなく、安静時にも起こるのが特徴で、寝ようとしてベッドに横になってから、症状が現れる例もあるそうです。

微小血管狭心症を日本で広めた医師

この微小血管狭心症という病気の存在を日本で最初に広めたのが、「女性外来」の生みの親でもある天野惠子先生(静風荘病院 特別顧問)です。
漢方ビューのインタビューによると、天野先生が微小血管狭心症を知ったのは、今から40年ほど前のこと。知人女性が胸痛を訴え、先生の外来を受診したことがきっかけでした。

現在では、更年期の女性の胸痛というと、微小血管狭心症を念頭に置いて診療をする医師もいますが、当時はマイナーな病気で、きちんと診てくれる医師は多くなかったようです。
天野先生はインタビューの中で、一般的な狭心症と違って、「命に別状のない病気であることから、狭心症を扱う医師からは、ほとんど相手にされなかった」という話をされています。
(詳しくは天野先生のインタビューをご覧ください)

胸痛があったらまずは循環器内科を

胸痛の原因はさまざまですので、微小血管狭心症と決め付けるのはよくありません。まずは、循環器内科などでほかの病気と鑑別してもらうことが大事です。そこで異常が見つからなかった場合は、女性外来などで相談してみるといいでしょう。

微小血管狭心症では予防も大切です。
適度な運動と栄養バランスのよい食事をとり、お酒の飲みすぎは控えましょう。もちろん禁煙は必須です。また、精神的なストレスも発症にかかわるとされているので、適度なストレス解消法を持っておいたほうがよいでしょう。

参照

公益財団法人 日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/topics/2016/004291/

女性外来オンライン「微小血管狭心症」
https://joseigairai.online/microvascular_angina/

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 29 2024

医療ライター・山内

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