漢方ビュー通信

ダイエットは「炭水化物抜き」よりも「穀物プラス」で!

ダイエットは「炭水化物抜き」よりも「穀物プラス」で!

今も続いている「もち麦」ブーム

もち麦」がブームになって久しいですよね。
きっかけはテレビの健康番組ですが、書店をのぞくと、今も料理ジャンルや健康ジャンルの棚にはもち麦関連の書籍が多く並んでいますし、スーパーなどでも、もち麦の品薄状態が続いているようです。

さて、このもち麦。じつは大麦の一種で、粘りがあるのが特徴。ちなみに粘りが少ないタイプの大麦もあり、こちらは「押し麦」といって、麦とろ飯などで使われています。
もち麦が人気なのはダイエットなどにいいとされるからで、大麦食品推進協議会によると、大麦に多く含まれる“βグルカン”という水溶性の食物繊維には、血中のコレステロールを減らしたり、食後血糖値の上昇を抑えたりする働きがあることが、国内外の研究で分かっているようです。

今も続いている「もち麦」ブーム

溜めないカラダを作るために不可欠な成分

カラダにいいとされる穀物は、大麦だけではありません。
過去に行われた調査では、国内にある長寿村では麦や雑穀などをよく食べていたという共通の特徴があり、雑穀そのものの健康効果も注目されています。

では、なぜ大麦や雑穀がカラダによいのでしょう。
その理由の一つとして考えられるのが、先にも挙げた“食物繊維”です。食物繊維には心臓病や脳卒中、糖尿病、肥満などと負の関連(たくさん摂るほどリスクが減る)を示す研究結果が、数多く報告されています。

さらには、女性にとってうれしい作用も分かっています。
例えば、食物繊維は便の状態を整えてお通じを快適にし、腸の善玉菌を増やして腸内環境を改善。老廃物やカラダに不要なアブラをスッと排出してくれます。
また、交感神経に作用してエネルギー代謝を促進したり、白色脂肪細胞にはたらいて脂肪の蓄積を抑制したりするのです。

さまざまな面で、“溜めないカラダ”を作る味方になるのが食物繊維なのです。

食物繊維の摂取は50年前の半分以下!?

こんなに大事な食物繊維なのですが、現代人には全く足りていません。
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、18歳以上69歳未満の食物繊維の基準量は、男性20g、女性18gですが、2015年の国民健康・栄養調査の結果を見ると、食物繊維の摂取量の平均は、男性で14.9g、女性で14.2g。なんと5g程度も不足しています。
ちなみに、50年ほど前の1960年代の食物繊維摂取量は、1日あたり30gだったとか。たった半世紀の間に、半分以下まで減ってしまっているのです。

性別 男性 女性
年齢等 目標量 目標量
0〜5(月)
6〜11(月)
1〜2(歳)
3〜5(歳)
6〜7(歳) 11以上 10以上
8〜9(歳) 12以上 12以上
10〜11(歳) 13以上 13以上
12〜14(歳) 17以上 16以上
15〜17(歳) 19以上 17以上
18〜29(歳) 20以上 18以上
30〜49(歳) 20以上 18以上
50〜69(歳) 20以上 18以上
70以上(歳) 19以上 17以上
妊婦 ×
授乳婦 ×

日本人の食事摂取基準(2015年版)スライド集P65

外皮付きの穀物でアンチエイジングも

外皮付きの穀物でアンチエイジングも

食物繊維というと、野菜、海藻類、きのこなどに多いというイメージがありますが、日常的に摂るには、穀類豆類がすぐれているとのこと。
さらに、雑穀や玄米の「外皮」の部分に含まれるビタミン類や酵素には、活性酸素を除去するはたらきもあることから、美肌などのアンチエイジングにも役立つといわれています。
なかでも「粟(あわ)」はパントテン酸が豊富で、日焼けを予防する作用があります。韃靼(だったん)そばアマランサスも、同様の作用が期待できるとのことです。
ただ、同じ穀物でも、精白された白米は栄養が失われてしまっているので、栄養面からすると「△」です。

いずれにしても、日本人にとって主食となる穀物。これからは“炭水化物抜き”ではなく、“穀物プラス”を意識して、ダイエットや健康を目指してもいいかもしれませんね。

参考

大麦食品推進協議会
http://www.oh-mugi.com/
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou.pdf
「おいしい穀物の科学」(井上直人)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062578691

Sep 1 2017

医療ライター・山内

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