漢方ビュー通信

漢方医学の考え方のひとつ、同病異治と異病同治とは

漢方医学と西洋医学では、病気へのアプローチが異なります。
例えば、漢方薬を服用する際は、自己判断ではなく、専門医や薬剤師などの専門家に相談してから服用する方が安心です。
これは、漢方医学で古くから言われている「同病異治」と「異病同治」という考え方に由来しています。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、同病異治と異病同治について解説します。

同病異治(どうびょういち)とは

同病異治とは、同じ病気でも、違う治し方をするという意味です。
頭痛の症状に対して、西洋薬ではそれに対応する薬を服用します。ところが、漢方では「釣藤散(ちょうとうさん)」や「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」などを用いたりします。
例えば、頭痛の根底に、肩こりや高血圧などが見られる場合には「釣藤散」、消化器系が弱っている、気圧の影響を受けている場合には「半夏白朮天麻湯」、といったように使い分けていきます。

個々の状態や病気の進行具合、カラダの感じ方や睡眠状態などを考慮して漢方薬を選択する必要があります。つまり、同じ「頭痛」という症状に対して、人によってさまざまなアプローチの漢方薬で対処する、それが同病異治と呼ばれる考え方です。

異病同治(いびょうどうち)とは

異病同治とは、異なる病気や症状に対して、同じ治療を行うという意味です。
例えば、風邪薬として有名な「葛根湯(かっこんとう)」ですが、通常は風邪のひき始めで、肩こりや頭痛が強い場合などに処方されます。ところが、それ以外にも中耳炎や扁桃腺炎といった症状の際にも用いられることがあります。

年齢も症状も全く異なる人に対して、改善したい症状や体質が共通している場合には、同一の漢方薬で対処する、それが異病同治と呼ばれる考え方です。

漢方薬の自己選択は難しい!

漢方薬

一般的には、病状や体質、過去の習慣、既往歴など全体を把握した上で治療方針を立て、適した処方に辿り着くことができます。それゆえに、専門医や薬剤師のアドバイスなしに、自分に合った漢方薬を選ぶことは、非常に難易度が高いということが分かるかと思います。

漢方薬の処方は複雑なため、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談すると安心です。
自己判断で選ぶと、改善がなかなか見られない、あまり効果を感じない、効果を感じるまでに時間がかかってしまうなど、不安に感じることが出てくるかもしれません。
漢方薬を使って、体調管理をしていきたいと考えている人は、なるべく相談第一で処方してもらうことをおすすめします。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Mar 22 2024

薬剤師・大久保 愛

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