漢方ビュー通信

栄養状態と胃腸の状態を改善して自律神経を整えよう

環境の変化や人間関係などに敏感でストレスを感じやすい人、いませんか。
もちろん性格による差もありますが、低気圧や寒暖差といった気候の変化や、人前で話す状況が苦手だったり、職場や学校での人間関係の変化などに過剰に反応してしまったりして、さまざまな不調を併発させてしまうのは問題です。
こういった不調は、じつは精神面ではなく、栄養状態や胃腸の状態を改善することで好転できる場合もあります。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、ストレスや生活環境によって乱れやすい自律神経を整える方法について解説します。

自律神経の乱れは栄養面と腸でケアを

やる気が出ない、イライラすることが多い、暴飲暴食してしまう、落ち込みやすい、集中力が続かないなど、自分のメンタルが原因で、物事が思ったように進まなく順調に回らない日々を感じている人もいると思います。

これらの原因には、冒頭でもお伝えしたように、栄養状態や腸内環境が起因していることがあります。例えば、このような自律神経の乱れには、脳の神経伝達物質の材料となる貯蔵鉄が欠乏していたり、心の安定に欠かせないセロトニンが存在する腸内環境が乱れていたりすることが多いとされているからです。

なので、ストレス発散といったメンタル面のケアももちろん大事ですが、カラダの内側のケアとして栄養面や腸の状態をチェックしてみることもおすすめします。

自律神経が乱れやすい状態なのかチェックしてみましょう

それでは、自律神経が乱れやすい体質なのかどうかを、次の項目でチェックしてみましょう。

立ち眩みをしやすい
爪が割れやすい
舌や下まぶたの色が白っぽい
髪の毛がパサつきやすい
良い状態の便が出ない(コロコロ硬い便、軟便など)
便秘と下痢を繰り返すことが多い
膨満感を感じることが多い
便やおならのニオイがきつい

いかがでしたか?
どれも今の栄養状態や腸の状態に関係する質問でしたが、これらの項目で3つ以上該当する人は、季節や環境の変化に適応することがストレスになりやすく、自律神経が乱れやすい状態である可能性があります。つまり、不定愁訴(なんとなく体調が悪い)を感じやすい状態といえるでしょう。

自律神経を整える漢方

原因不明の微熱には漢方がオススメ

自律神経を整える方法はいくつかありますが、まずは今感じている煩わしい症状を緩和することが先決です。こういった時におすすめなのが、漢方薬です。
例えば、イライラして怒りやすくなっている時には「抑肝散(よくかんさん)」や「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」、ソワソワして不安になって集中力が低下しているような時には「加味帰脾湯(かみきひとう)」などが、使われることがあります。
気になる人は、一度漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して、自分に合った処方を行ってもらうとよいでしょう。

また、その他にも自律神経の安定に必要なセロトニンの生成に関わる、太陽の光に浴びることも大事です。
そして栄養面では、消化を助けるキャベツや大根などの食材、発酵食品などを取り入れることで胃腸の働きを支えることを意識しましょう。偏食しがちな人は、シラスやシシャモなどの魚を取り入れて、タンパク質や鉄を補うこともおすすめです。さらに、ビタミンCを多く含む柑橘類を合わせるとミネラルの吸収が高まります。

日常の生活の中で、自律神経を整えていくことはできます。少しずつ実践しながら、足りないところを漢方薬で補うことも考えながら改善していきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Oct 25 2022

薬剤師・大久保 愛

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