漢方ビュー通信

増加傾向!膵臓や胆のうなどの疾患に注意を

増加傾向!膵臓や胆のうなどの疾患に注意を

近年、食習慣の変化や高齢化などの影響もあり、膵臓(すいぞう)胆のうの病気が増加傾向のようです。
ですが、膵臓や胆のうについて、そもそもどのような働きを担っていて、病気を患った際にどのような症状が出るのかを、多くの人は知らないのではないでしょうか。

肉中心の食生活や高脂肪食品の摂取過多、他にもアルコールの摂取量が増えたり、ストレスが多かったり、生活が不規則だったり、運動不足が続いたりすることが当たり前の時代…女性、男性に限らず、内臓系の病気には気をつける必要があります。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、あまり知られていない膵臓や胆のうについて解説します。

膵臓と胆のうの働きについて

膵臓は、血糖値を調整する「インスリン」というホルモンを分泌する働きがあります。
それ以外には、三大栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂質の分解をすべて行う消化酵素を分泌していることなどがあります。生きていくうえで、非常に重要な臓器だということがわかります。

胆のうは、肝臓で作られた胆汁を溜めておく保管庫のような働きを持っています。
食事の際、消化のために胆汁の分泌が必要となります。また、膵臓から分泌される膵液(すいえき)と合わせて、肉類など油物の消化にも必要となります。

膵臓、胆のうのためにアルコールはほどほどに

さて、お酒を飲む機会が増える時期ですが、アルコールを摂取すると胃液の分泌が増え、それに伴い、膵液の分泌を促すホルモンの分泌も高まるため、膵液の分泌量が増えます。
すると、膵液が流れる十二指腸への入り口部分の調節に不調をきたしたり、アルコールでむくんでしまったりします。それが原因で、膵管の内圧が上がり腹痛を感じさせたり、急性膵炎を起こしたりすることがあります。

これが、急性膵炎の原因のトップに、アルコールの長期間かつ大量の摂取が挙がる理由です。さらに、食の欧米化により、脂っこい食事も増えているので、膵臓や胆のうに炎症を起こす人が増加傾向にあるのです。

ちなみに、膵臓の病気には、急性膵炎や慢性膵炎、膵のう胞、自己免疫性膵炎、膵臓がんなどがあり、胆のうの病気には、胆のう炎、胆石、胆管炎、胆のうポリープ、胆道がんなどがあります。

有効な予防対策は、生活習慣を整えること!

膵臓の病気になりやすいタイプとしては、アルコールの過剰摂取や脂質過多に陥っている、太っている、糖尿病を患っている、喫煙者である、食事の時間が不規則である人などが挙げられ、また男性に多いとされています。

一方で、胆のうの病気になりやすいタイプとしては、先の膵臓と同様、脂質過多や太っている、食事の時間が不規則であることに加えて、ダイエットで過度の食事制限をすることも要因となり、比較的女性に多いとされています。

どちらにせよ、生活習慣の中で食生活が大きく影響することは確かです。

脂質とアルコールの摂取量に気をつけ、消化を助けるようよく噛んで食事をし、肥満防止に有酸素運動を行うこともおすすめします。
また、生活習慣の改善とともに、不快症状の緩和や体質改善を後押しする意味で漢方薬が助けになってくれる場合もあります。漢方薬は、自分の改善したい部分や悩み、不調に対して、広くカバーできるので、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しながら、自分に合った処方をしてもらうとよいでしょう。

漢方薬

健康的に生活していくためにも、膵臓や胆のうに限らず、病気の予防や再発の対策も行っていきながら毎日を過ごしていきたいですね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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https://www.kampo-view.com/clinic
Jan 11 2023

薬剤師・大久保 愛

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