不定愁訴は「フェリチン不足」がポイントだった!?
最近、朝が弱くなったり、疲れやすいなどと病気とは言い難い不調を感じてはいないでしょうか。このような明らかな疾患が見られないのに、さまざまな自覚症状を訴える状態のことを「不定愁訴」といいます。さらに、そのような状態にもかかわらず、通院や受診をせずに放置している方も多いようです。
今回は薬剤師である筆者が、不定愁訴の原因について解説したいと思います。
こんな人は気をつけて
何となく不調を感じる人は、下記の項目で気になるものをチェックしてみてください。
朝がだるい、起きれない
風邪をひきやすい
歯茎に炎症をおこしやすい
生理不順がある
抜け毛が多い
すぐに疲れてしまう
集中力が続かない
ちょっとしたことにイライラしてしまう
慢性的に肩こりを感じやすい
めまいや立ちくらみを感じることがある
いかがでしょうか。5個以上該当する人は要注意です。これらのチェックが多いときは“フェリチン”と呼ばれるタンパク質が不足しているかもしれません。今回は意外と知られていない“フェリチン”の不足について解説していきます。
「フェリチン」って何?
人のカラダは、体内を酸素が円滑に行き届くことで元気に動きます。なので、カラダが酸欠状態に陥るとさまざまな不定愁訴を感じる可能性が高まります。
酸素を全身に供給しているのは「赤血球」です。皆さんご存知の通り、赤血球には鉄が必要ですが、この鉄を体内で蓄えておくのが“フェリチン”と言うタンパク質です。
フェリチンは、主に肝臓に存在していますが、体内の鉄の約7割は赤血球にヘム鉄として存在し、残りの約3割はフェリチンに貯蔵鉄として存在します。鉄を過剰に摂取した時や、不足している時などにフェリチンは体内の鉄のバランスを正常に導いてくれます。
酸素が滞りなく全身を巡り、不定愁訴を感じず元気に過ごすにはフェリチンがとても大切と言えますね。
フェリチン不足による代表的不調2つ
1:うつっぽくなる
人の喜怒哀楽は、神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどがあると安定します。これらの神経伝達物質の材料になっているのがフェリチンです。気分が安定しない場合は、うつ病ではなくフェリチン不足の可能性もあります。
2:妊娠しづらくなる
器質的異常が見当たらなく体外受精や人口受精をしても妊娠しない場合は、フェリチンの値を一度確認してみるのも良いかもしれません。フェリチンが不足して鉄不足になると、黄体ホルモンが低下したり、卵巣機能低下、活性酸素が増加したりすることがあり妊娠にとって悪影響を与えることがあります。
いかがでしたか?
「不定愁訴」は自覚があるにもかかわらず、検査をしても異常がないと診断され、原因が分かりません。こんな時は、複数の症状に対して1剤で多彩な症状を改善することが期待できる「漢方薬」がオススメです。漢方医学では、カラダに現れた自覚症状を重視し、その人の体質を見極めた上で、その人に合う漢方薬を処方します。
ちょっとした不調でも、じつは大きな病気が隠れているかもしれません。不調が続くような時は、一度、漢方に詳しい医師や医療機関に相談しましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
薬剤師・大久保 愛