あの歌姫も。働く女性が気を付けたい「線維筋痛症」とは?
患者数は200万人、8割が働く年代の女性
今年9月に12月以降の活動を一時休止すると明かした、米人気歌手のレディー・ガガさん。
その理由として挙げたのは、「線維筋痛症(せんいきんつうしょう)」という病気でした。
この病名を聞いたのは、「今回が初めて」という人も多いかもしれませんが、じつは女性が知っておきたい病気の一つ。
アメリカでは一般人口の約2%(女性3.4%、男性0.5%)に線維筋痛症がみられるとされており、他の欧米の報告でもこの数値に近い有病患者率を示しています。
日本では人口の1.7%、推計患者数200万人(2007年厚生労働省研究班調査)のうち、女性が8割を占め、しかも30代~50代の働く女性に多いことが分かってきました。
さらに2011年インターネット調査が行われ、我が国の線維筋痛症の有病率は先の住民調査と同様に人口当たり2.1%と推計されました。
「検査しても分からない痛み」が主な症状
線維筋痛症とは、「原因不明の痛みが全身を襲う病気」。
カラダがあちこち痛くてつらいのに、血液検査や画像検査をしても、異常が見つからないというのが、この病気の特徴です。
痛む部位や痛み方は変わることがあり、また、不眠やうつなどの精神的な症状、疲労感、倦怠感、便秘、下痢、ドライアイ、ドライマウス、しびれなど、さまざまな症状が併発することも知られています。
原因ははっきりしていませんが、外傷、手術、感染といった外的な要因や、家族との別れ(離別や死別、離婚)や仕事の解雇、経済的な問題といった生活環境のストレスに伴う内因的な要因が、発症や症状悪化の引き金(きっかけ)になるといわれています。
また、出産や妊娠が引き金になることもあるようです。
痛む場所が変わる、天気で悪くなる
「線維筋痛症友の会」のホームページによると、痛む場所は常に同じではなく移動したり、天候によって痛み方が変わったりするそうです。
また、ささいな刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で痛みが増強されるといいます。
痛みが起こるメカニズムははっきりしていませんが、どうやら痛みを伝える神経に問題が生じ、“健康な人が1と感じる痛みを、10ぐらいに増幅して感じてしまうのではないか”ということです。
痛みそのものがストレスとなり、それがまた痛みを招くという悪循環に陥りやすく、そうなると日常生活に支障を来して、QOL(生活の質)の低下にもつながります。
痛みを抱えている人はまずは医療機関で相談を
検査では分からない病気ですが、診療ガイドラインもできたことで、この病気に詳しい医師も増えてきています。また、治療も進歩しています。
いずれにしても、働く年代の女性が注意したい線維筋痛症。
日々、頑張っている女性はついガマンしてしまいがち。市販の痛み止めを飲んでも収まらない痛みが続くようなら、早めに医療機関に相談してみてはどうでしょう。
参照
線維筋痛症友の会
http://www.jfsa.or.jp/page0101.html
リウマチ情報センター
https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/illness/fm/
「線維筋痛症診療ガイドライン2013」(日本線維筋痛症学会)
http://www.toyama-ra.com/topic/wp-content/uploads/2013/03/f45df298d6b498b67248ca4ea2c55dbd.pdf
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https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内