温泉大国日本。泉質を知って賢く楽しもう!
日本の温泉地はなんと3000カ所以上
ココロもカラダもリラックスできる温泉。特に寒い季節は恋しくなりますよね。
日本温泉総合研究所によると、日本国内には源泉が2万7000カ所。3000以上もの温泉地があり、なんと1年間に1億2800万人が温泉地に宿泊しているとのこと。日帰り温泉の利用者などを含めたら、相当な数になります。ちなみに、温泉施設数が最も多いのは静岡県で、温泉地での宿泊者数が最も多いのは北海道でした。
美肌効果、冷え解消が期待できる泉質は?
ご存じの通り、温泉と一口で言ってもさまざまな泉質があり、それによって適応症(効能)が決まっています。「美人の湯」「美肌の湯」などと銘打った温泉も魅力的ですが、キホンの泉質をしっかり覚えさえすれば、自分の体調や求めている作用にピッタリの温泉を探すことも可能です。
ではさっそく、日本温泉気候物理医学会や温泉ソムリエ協会の情報をもとに、気になる泉質をご紹介しましょう。
泉質は全部で9種類(単純温泉、塩化物泉、単純水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射線泉※)。まさにthe温泉!という印象を受ける卵のような匂いがするのが硫黄泉、入ると細かい泡が出るのが二酸化炭素泉、入るとピリピリする刺激があるのが酸性泉です。放射線泉に含まれる放射能は非常に微量なのでご安心を。
温泉の適応症は1954年に厚生省(当時)が定めたもので、現在は医師の意見などを基に決定されます。
泉質でみると、美肌・乾燥肌が期待できるのが塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉。生活習慣病の予防は硫黄泉、刺激が少なく子どもも年配者にもやさしいのが単純温泉です。冷え症やストレス、肩こりや腰痛などの関節の症状、疲労回復を目的とするのであれば、どの泉質でもOK。リラックス効果を狙うのであれば、温泉地の雰囲気なども大事な要素になりそうです。
漢方の考え方からみても、冷えは健康や美容の大敵。昔から「湯治」が行われていたように、ときには温泉に浸かってカラダをゆっくり温めて、日々の疲れや不調などを解消するのは大事ですね。
“3~10分×1~2回”から入り始める
温泉をより楽しむには、効果を高める温泉の入り方を知っておくことも大切。
入浴前には血圧が急に上がらないように全身にかけ湯を。3~10分くらいの入浴を1~2回程度繰り返したら、今度は少し長めに15~20分くらいを2~3回。入浴後は温泉成分を洗い流さないで、タオルで拭き取ります。
当然ながら、入浴直前直後の食事や、飲酒後の入浴はNG。入浴前後は水分補給を忘れずにしましょう。入浴も意外とカラダに負担がかかるもの。熱や出血があるときや、重い心臓病、呼吸器の病気、腎臓病がある人などは、かかりつけの医師に相談してからのほうが安心ですね。
妊婦さんの温泉が32年ぶりにOKに
最近の温泉の話題でいえば、2年ほど前まで禁忌になっていた妊婦さんの温泉。32年ぶりに温泉法が見直され、妊娠中の入浴もOKとなりました。科学的な裏付けによって、キケンではないことがわかったのだそう。
もちろん、妊娠中は普段でもカラダに負担がかかっている時期で、温泉に限らず、自宅での入浴も気を付けなければならないことは確か。温泉に入ってもよいか医師に相談した上で、体調が悪いときは控える、水分補給をする、床が滑りやすいので足元には気を付けるといった注意をした上で、温泉を楽しみましょう。
医療ライター・山内