頭痛に悩む人は始めたい「頭痛ダイアリー」
現代人の半数近くが“頭痛持ち”
一般的な病気なのに、意外とよく知られていないのが、「頭痛」。
頭痛は、大きく「一次性頭痛」と、脳出血などの他の病気による「二次性頭痛」があり、一次性頭痛はその痛み方などによって片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛に分けられます。
<一次性頭痛タイプの症状・特徴>
タイプ | 症状 | 特徴 |
---|---|---|
片頭痛 | 頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛む頭痛 | 女性に多い。光や音、臭いに反応。動くと痛みが悪化し、吐き気や嘔吐を伴うことも。痛む前に予兆が出ることもある。 |
緊張性頭痛 | ギュ-ッと締めつけられるような痛みが続く頭痛 | 肩コリなどを伴うことも。カラダを動かすと和らぐ。 |
群発頭痛 | 目の奥から側頭部にかけて激しい痛みが起こる頭痛 | 男性に多い。目の充血や涙、鼻水などを伴うことも。深夜、明け方など決まった時間帯に起こることが多い。 |
国内で行われた大規模な疫学調査によると、もっとも多い一次性頭痛は緊張性頭痛で、その有病率は約22%。片頭痛は約8%、群発頭痛は他の頭痛も含めて約9%程度と言われています。
合併しているケースもあるのではっきりとは言えませんが、これらの数字を合わせると、頭痛の有病率はおよそ4割。
現代人の半数近くが、“頭痛持ち”という、まさに国民病といえる存在なのです。
生活の質の低下を招く重大な病気
頭が痛くて起き上がれない、仕事や勉強に集中できない、人にあたってしまう――。
頭痛で悩んでいる人にとって大きな問題となっているのは、痛みによって生活の質が低下することでしょう。
実際、WHO(世界保健機関)の「脳神経疾患の健康寿命損失度(健康で生活できる期間がどれだけ縮むかを推測したもの)」をみると、頭痛(片頭痛)は脳卒中に次いで第2位。髄膜炎や認知症などの病気より上位にきています。
別の国内の調査でも、頭痛によって常に横になっていなければならないケースや、欠席や欠勤をせざるを得ないケースなどが多く、頭痛がいかにQOL(生活の質)を低下させているかがよくわかります。
<脳神経疾患の健康寿命損失度>
2位 頭痛(片頭痛) 13.1%
3位 髄膜炎 10.1%
3位 認知症 10.1%
5位 てんかん 5.0%
脳神経疾患の健康寿命損失度(WHO)より
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(17)30299-5/fulltext
「頭痛ダイアリー」を活用して“敵”を知る
一口に頭痛といっても千差万別で、痛みが起こるきっかけは人によって違います。
だからこそ、頭痛を克服して痛みに左右されない毎日を送るためには、その人にあった対策が必要です。
自分の頭痛の傾向を知るには、頭痛がいつ、どこで、何をきっかけに起こったのかを分析することが大事。
そのために広く用いられているのが、「頭痛ダイアリー」です。
頭痛診療を行っている医療機関で入手できるほか、頭痛学会のウェブサイトからもダウンロードが可能です。
日記には、痛みの程度や時間、痛み方のほか、服用した痛み止めなどの名前と効果、頭痛以外の症状(おう吐、耳鳴りなど)を書き込みます。
片頭痛は月経周期と関係する場合があるので、それも書いておくとよいでしょう。
さらに簡単な日常の行動なども記しておけば、痛みと生活との関係性もわかり、頭痛が起こるような生活を避けることができるようになるかもしれません。
また、頭痛外来など病院にかかるときも、この日記はとても役立ちます。
いずれにしても、頭痛は付き合うのではなく、予防するもの。まずは自分の頭痛を知るところからはじめてみてはどうでしょうか。
<片頭痛と緊張性頭痛のセルフケア>
片頭痛 | 強い光や音を避ける、寝過ぎ・寝不足にならない、休みの日も規則正しい生活を送る、など |
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緊張性頭痛 | パソコンやスマホなど長時間使用しない、合わないメガネや義歯は変える、ストレス解消に努める、入浴やマッサージ、運動などを行う、など |
参照
頭痛ガイドライン(一般社団法人 日本頭痛学会)
https://www.jhsnet.net/guideline.html
頭痛ダイアリーで頭痛を攻略(一般社団法人 日本頭痛学会)
https://www.jhsnet.net/dr_medical_diary.html
厚生労働省 患者調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/
医療ライター・山内