合併症にも要注意!怖~い病気「痛風」とは?
風が吹くだけで痛い…“贅沢病”といえば「痛風」。
じつは、日本では昔は痛風という病気は存在していませんでした。しかし、高度成長期の頃から徐々に増加しはじめたため、食生活やライフスタイルの変化が大きく影響しているのではないかと考えられています。
今回は薬剤師である筆者が、痛風とはどんな病気なのか、そしてその対策などを解説します。
「痛風」ってどんな病気?
痛風とは、血液中の「尿酸(にょうさん)」が上昇する「高尿酸血症」によって、尿酸の結晶が関節内に蓄積し、関節やその周辺に痛みを伴う炎症が起きる病気です。
尿酸値が7mg/dl以上の場合を高尿酸血症とよび、激痛を伴い始めたものを痛風と言います。
尿酸の結晶が蓄積する場所として最も多いのが、足の親指の付け根あたりですが、他にも足首やヒザ、耳などにみられることもあります。
男性に発症する場合が多いのですが、中年期の男性と閉経後の女性にも発症する傾向があります。さらに最近では食文化の変化の影響もあり、20〜30代の若い男性でも5人に1人は“痛風予備軍”とも言われるほど一般的になってきています。
痛風で怖いのは合併症
痛風が発症した際に、気をつけなければならないのが“合併症”です。
尿酸でできた腎結石(尿路結石)が生じ、それによって腎臓が損傷する場合があります。
また、そのまま放置していると、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病も併発しやすくなります。
これらは、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすリスクにもつながるので、痛風の可能性を感じたら、それを危険合図としてすぐに生活習慣の改善を始めることをオススメします。
痛風の大敵「プリン体」
痛風の大敵として代表的なのが「プリン体」です。
このプリン体は水溶性なので、食材を煮たり茹でたりすると水分中に溶け出していきます。つまり、プリン体を多く含む食材そのものを控えていたとしても、出汁やスープに溶け出していた場合、それを飲み干したりするのは危険なのです。
特に、カツオや煮干し、干し椎茸には多くのプリン体が含まれているため、それらで取った出汁やスープの摂取は控えるようにしましょう。
また、高脂肪、高カロリーな食事を摂ってしまった場合は、しばらくの間、野菜を中心とした食生活に切り替えて様子を見ることも大事です。
プリン体が多く含まれているお酒としてビールが有名です。
しかし、ビールに限らずアルコールは、体内で尿酸を作り出すことに変わりないので、なるべく控えるのが得策でしょう。
痛風対策には何が有効?
尿酸の血中濃度が高い方は、メタボリックシンドロームの傾向があります。
具体的には、ウエストが太い、高血圧、血糖値が高い、コレステロール値が高いなどが挙げられます。つまり、現代病にまとめられるような症状に注意しなければならないのです。
ここで大事なのは、ズバリ“体質の改善”です。
まずは、食事制限や適度な運動、十分な睡眠に気をつけるよう心がけてください。
また、高血圧に伴う症状や肥満症などに対して処方される漢方薬もありますので、気になる方は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるのもよいかもしれません。
痛風は、暴飲暴食によるトータル的な食生活の乱れが招いた結果です。
食生活全体を見直すようにして改善していく必要がありますね。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛