漢方ビュー通信

乾燥の季節到来!長引く咳の原因と対策を解説

乾燥の季節到来!長引く咳の原因と対策を解説

夏が終わり、秋になると徐々に気になってくるのが“乾燥”です。
喉が弱い人にとっては、夏以上に空調管理や体調管理に気を配る季節です。また、この本格的な乾燥のシーズンが来る前からすでに喉を痛めていたり、咳が長引いているとさらに気分も落ち込みます。

今回は、薬剤師である筆者が、この時期の咳の原因と対策について解説します。

秋に咳が出やすい理由

秋は、一年の中でも空気がカラッとしていて過ごしやすい季節ですが、乾燥により喉の粘膜を痛めてしまうこともあります。
この粘膜が弱まると、刺激に敏感になったり、炎症を起こしやすくなってしまいます。
また、秋は乾燥以外にも、さまざまなものが飛散するので喉のケアには注意が必要です。

ウイルス

秋に咳が出やすい理由:ウイルス

風邪の時に咳が出るのは、ウイルスが鼻から上気道に入り込んで感染し、炎症を起こすのが原因です。(風邪の原因となるウイルスは、ライノウイルスやアデノウイルス、RSウイルスなど200種類以上もあると言われています。)
また、乾燥している環境だと、ウイルスは水分量が低下するため、空気中に長時間浮遊することが可能となり、さらに風に乗って遠くまで運ばれやすくなるので、飛散量は増加してしまいます。
したがって、鼻や喉からウイルスを吸い込む機会が増え、感染しやすくなってしまうのです。

─ ウイルス対策 ─

大切なのは、こまめな水分補給です。
水分を摂ることで、喉に付着したウイルスを洗い流すことができます。ちなみにウイルスが体内に入ってしまっても、胃酸が死滅させるので問題はありません。
また、水分補給は喉の粘膜の乾燥を防ぐだけでなく、ウイルスの付着も予防してくれます。
適量の水分を、30分に1回程度摂ることがおすすめです。

ダニ

秋に咳が出やすい理由:ダニ

秋は、一年を通して最もダニによるアレルギー症状が増える季節と言われています。
もちろん花粉症も注意しなければなりませんが、粒子が小さいダニの死骸やフンなども、咳の原因になりやすいのです。(ダニの死骸やフンは、空気中を舞いやすく、吸い込むと気管支まで到達しやすい)
また、梅雨から夏にかけて増殖したダニは、秋の環境により大量に死骸となります。
その結果、さまざまな部位にかゆみを感じたり、アレルギー性の咳が起こりやすくなります。

─ ダニ対策 ─

ダニが一番好む場所は“布団”です。また、ダニは繊維などに引っかかりやすい爪、50度以上の高温で死滅するという特徴があります。
つまり、ダニの死骸やフンは洗濯や天日干し、掃除機で除去できますが、この方法だと“生きているダニ”の除去は難しいと言えるでしょう。

生きているダニを除去するには、やはり“高温”がカギとなりますので、その方法を紹介します。

  1. コインランドリーの乾燥機を使う(家庭用と違い約60度近くまで上昇)
  2. 炎天下の車内で布団を干す(真夏日の車内温度は約75度まで上昇)
  3. ダニ退治機能を要した布団乾燥機を使う

そして忘れてはいけないのが、高温にした後、掃除機で死骸やフンを吸い取ることです。

涼しくなると部屋の換気がおざなりになり、室内にダニの死骸やフンが溜まりやすくなるため、3か月に1度は布団を加熱し、週に1度は掃除機をかけると十分に予防できると思います。

咳の原因はさまざま、症状に応じて漢方薬も有効

夏バテの味方に漢方薬

咳の原因は、多岐にわたります。
その際、「いつから続いているのか、どんなときに出やすいのか、痰を伴うのか」など、“どんなタイプの咳”か、という情報が不可欠です。

例えば、風邪の後に長引いている咳だと、漢方薬を用いるのも有効です。
漢方の考え方において、風邪後の長引く咳は、カラダから水分が奪われている状態の「水毒(すいどく)」が起きているとされています。
そこで、漢方薬の働きとして、カラダの内側から水(すい)のバランスを整えて、気道を潤すことで、咳を出にくくします。

ただし、既述のように咳の原因はさまざまなので、服用する場合は、漢方に詳しい医師または薬剤師に相談して、処方してもらうようにしましょう。

喉の風邪やアレルギーは長期化しやすいです。
咳をしていると、ツライだけではなく周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
事前の準備と対策をしていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Oct 26 2018

薬剤師・大久保 愛

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