これから増えるダニ。しっかりアレルギー対策を
ジメジメ梅雨と蒸し蒸し夏にご用心
ジメジメした梅雨のあとにやってくる、蒸し蒸しする夏――。
これからの季節に注意したいことのひとつが、“ダニアレルギー”です。
ダニアレルギーを起こすダニの種類は、チリダニの一種であるヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ。
いずれも家の中に多くいるダニで、生きているダニが問題になるわけではなく、死骸やフンに含まれるタンパク質がアレルギーの原因(アレルゲン)となります。
ダニによるアレルギーは、皮膚炎や結膜炎、鼻炎など、さまざまな症状として現れます。また、気管支喘息の原因としても知られています。
1年を通じて鼻がグズグズするという通年性のアレルギー性鼻炎の原因のひとつは、ダニによるものです。気になっている人は、アレルギー検査を受けるといいかもしれません。
ダニアレルギーがあっても対策をとらない!?
通年性のアレルギー性鼻炎のある患者さんの人数は、なんと2200万人。
このうちダニが原因でアレルギーが起こっていると推測されるのが、400万人です。
これほど多いにもかかわらず、「アレルギー性鼻炎をもつ患者の意識と行動に関するアンケート調査」によると、なんとその多くが治療をしていなかったり、アレルギー対策をとっていなかったりしていました。
しかも、こうした人たちの半数以上が、『鼻アレルギー診療ガイドライン』では症状が中等度以上であることも判明。調査では「重症度分類と自覚症状の程度との間に大きな乖離が認められた」と報告しています。
今すぐ実践!有効なダニアレルギー対策5つ
アレルギー症状の改善には、「アレルゲン(ダニ)を減らすこと」が大切。
しかし、ダニの大きさは0.2~0.5mmぐらいで、目には見えないため、室内のダニをゼロにするのは現実的ではありません。
そこで、ポイントを抑えたダニ対策が大切です。
そのポイントとは、「ダニを死滅させること」と「ダニの死骸やフンを減らすこと」。
ダニが増えやすい環境は、湿度が60~80%、温度が25~30℃。人の髪の毛やアカ、フケなどのエサが多いところなので、そこに対策を集中させましょう。
具体的には、次のような方法が勧められています。
- 掃除機がけは吸引部をゆっくりと動かし、1 畳あたり30秒以上の時間をかける
- 掃除機がけは週に2 回以上行う
- 布張りのソファやカーペット、畳はできるだけやめる
- ベッドのマット、布団、枕にダニを通さないカバーをかける
- 布団は週 2 回以上干す。困難なときはふとん乾燥機で湿気を減らす
- 週に 1 回以上、布団に掃除機をかける
- 部屋の湿度を45%以下、室温を20~25℃に保つ
- フローリングなどホコリのたちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかける
- シーツ、布団カバーは週に 1 回以上洗濯する
(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)
このほか、防ダニ布団カバーなどの専用グッズも有効です。
ソファのクッションやぬいぐるみなどは、ダニの温床になりやすいので気をつけて。
治療と環境づくりでつらい症状を改善
一方、ダニアレルギーに対する治療には、薬物療法とアレルゲン免疫療法があります。
前者は鼻水や鼻づまりなどの症状を和らげる治療法で、漢方薬の「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」なども用いられています。
一方、後者はダニに対するアレルギー体質を根本から治療する方法で、新しい治療法です。
いずれにしても、先に紹介したアレルギー対策と一緒に実践していくことが大事です。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク
https://alle-net.com/
鼻アレルギー診療ガイドライン2020
アレルギー性鼻炎をもつ患者の意識と行動に関するアンケート調査
https://alle-net.com/wp2/wp-content/uploads/2017/11/MSLreport2017.pdf
愛知県衛生研究所
https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/dani.html
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内