漢方ビュー通信

“思秋期”の悩みには漢方薬を

“思秋期”の悩みには漢方薬を

年齢を重ねると、ホルモンバランスの乱れや老化現象に伴い、さまざまな不調を感じるようになってきます。
その不調は人によって多種多様ですが、思うようにカラダが動かせなくなってしまったり、感情のコントロールができなくなってしまうことも…

このように、カラダや精神に衰えが見られる時期を、思春期に相対する言葉として“思秋期”※と呼びます。(※心理学上の呼称)
さて、何かと悩みを感じ始めるこのような時期ですが、じつは「漢方」が得意とするところでもあります。

今回は、薬剤師である筆者が、年齢とともに増えるこれらの悩みについて解説します。

年齢とともに感じる不調の原因は

年齢とともに感じる不調の原因は

40歳を超えてくると、男女ともに増えてくる原因不明の体調不良
さまざまな理由が考えられますが、年齢とともに変化する“ホルモンの減少”もそのひとつだと言えます。

女性の場合だと、50歳前後で閉経し、その前後10年の間に「エストロゲン」の急激な減少でホルモンバランスが乱れます。それによりさまざまな不調を、心身ともに感じやすくなるのです。

男性の場合には、40歳から70歳くらいまで「テストステロン」の低下による影響を受けやすくなり、その結果、さまざまな心身の不調を感じやすくなると言われています。

また、このような身体的要因に加え、自身の性格上のものや環境の変化による精神的要因も、体調不良に大きく影響していると考えられています。

漢方が得意とする症状

夏バテの味方に漢方薬

女性にとって、閉経が起こる50歳前後の時期(年齢的には45歳ぐらいから55歳ぐらいまで)を「更年期」と呼びます。
個人差はありますが、この時期、ホルモンの変動によってイライラ、不眠、気分の落ち込み、集中力の低下など精神的な症状を訴えることが多くなります。
じつは、「漢方」ではこういった精神的な問題へのアプローチを得意としています。

例えば、更年期では複数の症状を同時に訴えることが少なくありません。
そのような時、西洋医学ではそれぞれの症状に合わせて薬が処方されますが、漢方ではカラダをトータルに診てバランスを整える治療を行っていきます。そのため、複数の症状に対し1剤の漢方薬ですむことがあるのです。

ただし、漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、十分に効果を発揮することができません。効果的に漢方薬を活用するには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのがよいでしょう。

生活習慣の見直しが大切

ホルモン分泌の急激な低下により、骨粗鬆症や高血圧、アルツハイマー、動脈硬化などの病気リスクはどうしても増えていきます。また、これらの症状は早期の段階では自覚症状がほとんどありません。
そこで、それらのリスクを少しでも下げるために、“生活習慣の見直し”が最も有効です。
これは同時に、更年期の症状を緩和させることもできるので、食事の内容、就寝時間、運動不足などをしっかりと見直すようにしましょう。
最後に、健康診断や各種定期健診などもしっかりと受診することを忘れずに!

老化やホルモン分泌の減少などは、生きている以上避けることはできません。
しかし、それに伴う不調は努力次第で緩和することができます。
日頃の生活を見直したり、不調を感じたらすぐにケアするなどの心構えが必要です。
日々、自分のカラダと向き合い、健やかな毎日を過ごしたいですね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Nov 9 2018

薬剤師・大久保 愛

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