薬を飲んで頭痛? “痛み止め”飲みすぎに注意!
世界的にも問題視されている病
痛みがあるから、薬を飲む。その薬が逆に頭痛を招き、痛みを強めてしまう──
そんな病気があることをご存知でしょうか。
今問題になっている頭痛のひとつが「薬物乱用頭痛(medication-overuse headache:MOH)」。
まさに、痛み止めの薬を飲み過ぎることが原因で起こる頭痛です。
じつは、この薬物乱用頭痛は世界的にも問題視されており、「健康でいる期間が縮むリスクの大きい脳神経疾患」を示したWHO(世界保健機関)の調査(2015年)でも、ワースト6位になっています。
毎週2~3日以上の服用がリスクに
日本頭痛学会の「慢性頭痛治療ガイドライン」によると、薬物乱用頭痛は痛み止めを毎週2~3日以上といったように長期的に服用することで生じるとされており、以下を診断基準としています(片頭痛の特効薬と言われている薬でもリスクになることがあると、ガイドラインでは注意を促しています)。
◎月に15日以上、3カ月間痛み止めを飲み続けている(薬の種類によっては月10日以上)
また、痛み止めを飲むことをやめて2カ月以内に頭痛が治る(あるいは元に戻る)ようであれば、それが薬物乱用頭痛と考えられるとしています。
仮に、月経中に痛み止めを4日間連続で飲み、1週間ほど空けて、頭痛で痛み止めを飲むというような場合は、このような状況を引き起こすことは少ないようです。
気付かないうちに薬の量が増えて…
薬物乱用頭痛はなぜ起こるのか。
その詳しいメカニズムはまだ分かっていませんが、「痛み止めを飲み続けると、痛みを感じる上限(閾値)が下がるため、本来なら痛みとして捉えないような痛みに対しても、痛いと感じるようになり、さらに痛み止めを飲むようになる」といった悪循環が、薬物乱用頭痛を招いているとも言われています。
しかも、こうしたパターンだと、“1日1錠から2錠に”、“1日1回から2回に”というように、知らないうちに服用量が増えやすく、本人自身も薬物乱用で頭痛が起こっていることに気付かないケースが少なくないようです。
痛み止めの薬を使わない工夫が大切
薬物乱用頭痛かも知れないと思ったら、まずは医療機関を受診することが大事。
脳神経外科や脳神経内科のほか、頭痛外来などを開設しているところも多いので、そこを訪ねていくとよいと思います。
その際、服用している薬や頭痛の状況を示した「頭痛ダイアリー」を持っていくとよいでしょう(頭痛ダイアリーについては、こちらをご覧ください)。
あとは医師の指導のもとで、痛み止めの薬を使わないための工夫をしながら、日々を過ごすようにしていきます。生活のリズムを整え、こまめに休んだり、頭痛を誘発するといわれる食べもの(チョコレートやアルコール、チーズなど)は控えたりすることが大事。
また、頭痛をはじめとする痛みに対しては、漢方薬も有用と言われています。漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるのも、解決法のひとつになるかもしれません。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
「50歳からのつらい症状にはこれしかない!」(高橋浩子著)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic
医療ライター・山内