漢方ビュー通信

女性のカラダを悩ます“排卵障害” の原因と対策

女性のカラダを悩ます“排卵障害” の原因と対策

わずらわしいけど大事な機能

思春期以降、更年期前の女性であれば、毎月必ずやってくるのが「月経(生理)」。
体調も悪くなり、わずらわしさを感じる女性も少なくないと思いますが、カラダの健康状態を知らせてくれるバロメーターであり、また妊娠や出産のための大事な機能です。

さて、この月経(生理)は月経周期によって生じるもので、その周期は月経(生理)後に始まる「卵胞期」と、排卵後に始まる「黄体期」に分かれます。
基礎体温を測ってみると分かりますが、卵胞期の時期は基礎体温が低め(低温相)を示し、黄体期になると高め(高温相)になります。
そして、この卵胞期から黄体期に移行する時期にあるのが「排卵」です。

太っていても、やせていてもダメ

太っていても、やせていてもダメ

排卵が順調に行われなくなった状態が、「排卵障害」。
不妊につながるため、赤ちゃんを希望する夫婦にとっては、大きな問題です。

排卵障害の原因はさまざまですが、最近になって特に注目されているのは、「肥満」と「やせ」がもたらす排卵障害です。
太っていても、やせていても、順調な排卵はむずかしく、海外の報告ではBMI22〜23がもっとも月経異常(排卵障害)になりにくいとのこと。
ではなぜ、太りすぎややせすぎが良くないのでしょうか。

太りすぎと排卵障害の関係

月経(生理)や妊娠、排卵には「女性ホルモン」が大きく関わっていますが、太っていると体内の女性ホルモン環境が乱れて、排卵が起こりにくくなると言われています。
排卵をきちんと戻すには、少しでも体重を落とし、ホルモン環境を正常にすることです。現在の体重から“5%”やせるだけでも効果があると言われているので、BMIが高めな女性は少しだけダイエットを試みてもいいかもしれません。

やせすぎと排卵障害の関係

「ダイエットのしすぎで生理が止まった──」、そんな話をよく聞きます。
実際、急激に体重を減らすと女性ホルモンを産生する卵巣の働きが低下して、排卵が起こらない「無排卵」になります。
また、食事の量を減らして栄養が十分に摂れていない状態が続くと、当然ながら卵巣や卵巣内で卵子を育てる卵胞も栄養不足に陥り、卵子が育ちにくくなります。

ココロとカラダを整えて排卵障害を改善

ココロとカラダを整えて排卵障害を改善

大切な人と出会い、その人の子どもを授かりたいと願う――。それは当たり前のこと。
そのためには、やはりココロとカラダのコンディションを整えることが大事。
と同時に、排卵の状況が気にかかるようなら、まずは基礎体温を付けてみましょう。

低温相と高温相がはっきりしない、月経周期が一般(周期日数25~38日。卵胞期18±6日、黄体期13±2日)とは明らかに違う…そんな場合は、まずは産婦人科で相談を。
西洋医学的な治療も可能です。

また、漢方の考え方のひとつに、「気・血・水(き・けつ・すい)」という概念があります。
漢方医学では、それぞれ気・血・水のバランスが取れている状態を心身共に健康だとするのですが、月経関連にトラブルを抱えていると、主に「血(けつ)」に異常があると考えられています。
(けつ)の不調には、瘀血(おけつ)や血虚(けっきょ)などがあり、排卵障害以外にもPMS(月経前症候群)や頭痛、眠気、めまいなどを起こしやすくするケースがあります。
そのような時、漢方では一つひとつの症状ではなく、カラダ全体を診て治療を行っていきます。ですから、血(けつ)の不調がもたらすさまざまな不快症状に対して、1剤の漢方薬で済むことも少なくありません。

ちなみに、漢方医学において、月経不順には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「温経湯(うんけいとう)」などを使うことがあります。
ただし、漢方薬を処方する際は、痛みなどの症状はもちろんのこと、その人の体質なども考慮した上で、その人に合った漢方薬が決まりますので、かかりつけの医師や薬剤師に相談することをオススメします。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

May 14 2019

医療ライター・山内

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